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金魚の記憶力(une mémoire de poisson rouge)

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こんにちは。バゲットです。

「ニワトリは三歩歩くと忘れる」と言います。小学校五年生のときの担任がユーモアのある先生で、何かの機会に教えてもらったように記憶しています。
祖母がニワトリを飼っていて、私は日常的にニワトリと接していたので、それを聞いたときは奇妙に納得したものでした。実際、庭にいるニワトリを私がイタズラでw追いかけると、追いかけている間は必死に逃げるのですが、私が追いかけるのをやめるとニワトリも逃げるのをやめ、何もなかったかのように悠然とした態度を取るのです。他の動物や鳥だったら、追いかけるのをやめても、まず安全な場所まで逃げるでしょう。「ニワトリは三歩歩くと忘れる」というのは比喩ではなく「事実」であって、バカな生き物の代表としてニワトリが選ばれるのは、私にはすごく自然なことのように思われたのでした。
※      ※      ※
さて、フランス語ではバカな生き物の代表は、ニワトリではなく金魚です。
「金魚の記憶力(mémoire de poisson rouge)」という言い回しがありますが、いつものように「ウィクショネール(https://fr.wiktionary.org/wiki/mémoire_de_poisson_rouge)」で検索してみると、“mémoire courte(忘れっぽさ←短い記憶力)”、“très mauvaise mémoire(非常に悪い記憶力)”と出てきます。多くは動詞“avoir(持っている)”と共に用いられ、たとえば、“il a une mémoire de poisson rouge(彼は金魚の記憶力を持っている)”で、「彼は忘れっぽい」、「アイツは物覚えが悪い」。あるいは、子供が宿題をしなかったり、部屋を片づけなかったりしたとき、親が「何度言ったらわかるの!」という意味で、“Tu as une mémoire de poisson rouge(お前は金魚の記憶力を持っている)”と言ったりするようです。
上のサイトの“Étymologie(語源)”の箇所には、「俗説(idée reçue)によれば、金魚の記憶は5秒を超えない」とあります。別のサイトでは「3秒」です。社会通念(idée reçue)上、金魚は記憶力が弱いとされていて、それ故、忘れっぽい人、物覚えが悪い人のことを「金魚の記憶力を持っている」と言うわけですね。
金魚
他方で、さまざまな科学的研究が反対のことを示しているそうです。たとえば、あるサイトには「金魚を訓練して、レバーを押すとエサがもらえることを覚えさせた(entraîner des poissons rouges à pousser un levier pour récupérer leur nourriture)」とあります。記憶5秒説は単なる「俗説」で、金魚の記憶力は本当はそれほど悪くはないのです。
では、なぜそんな「俗説」が出来たのでしょうか。ヤフー・フランスの質問コーナーに、なかなか興味深い「回答」が寄せられていました。それによると、「ものを考える動物を小さな金魚鉢の中に閉じ込めておくとしたら、それはあまりにも恐ろしいことだ(il serait trop horrible de laisser un animal pensant enfermé dans sa petite boule)」。一説によれば、金魚がストレスを感じることなく生活するためには、少なくとも50リットルの水が必要だそうです。小さな金魚鉢の中に閉じ込めて、「金魚はバカだから何も感じないはずだ」と、人間が自分を安心させるために、この「俗説」が作られたというのです。
※      ※      ※
先日のことですが、ある本を探して、書斎の読み終わったFolio(←フランスの文庫本)を置いてある棚をガサガサやっていたら、カミュ(Albert Camus)のLettres à un ami allemand(『ドイツ人の友への手紙』)とL’envers et l’endroit(『裏と表』)が出てきて、ひどく驚きました。私はそれらの本については「未読」だと思っていたからです。開いてみると、赤のボールペンで重要箇所にチェックが入っています。読んだ本の内容を忘れるならまだしも、読んだという事実そのものを忘れるとは!!!
私もあまり、ニワトリや金魚をバカにすることは出来ないようですねw。

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