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自分に花を投げる(se jeter des fleurs)

投稿日:2024年1月18日

こんにちは。バゲットです。

ここでも何度か書いたように、私の実家は集落から少し離れた、山に囲まれた場所にあるので、家の周囲がほとんど実家の所有地です。そのため、かなり広い庭があって、私が物心ついたころには、庭の隅にちょっとした「お花畑」がありました。ツツジ、椿、サザンカ、菊、ダリアなどいろいろな花が植えられていましたが、その中で特にダリアは「毒があるから触れてはいけない(間違いだそうですが)」と言われていて、私は「なぜそんな危険な花がここにあるのだろう」と、少し恐れると同時に不思議にも思っていました。それらの花が、誰によってどんな経緯で植えられたのかは聞いていません。怠け者だった祖母(実話w)がしたとはとても思えませんから、恐らく嫁いできたばかりの母が植えた(あるいは種をまいた)のでしょう。

家の前の畑には梅の木がたくさんあって、早春には花が咲き誇り、なかなか壮観な眺めでした。桜の木も二本あって(父がもらってきて植えたそうです)、毎年春になると花を咲かせていました。ソメイヨシノではないので短期間で散ることもなく、かなり長い期間、咲いていたように思います。

私が中学三年生のとき、家の隣の1メートルほど高まった梅畑(老木でもう実をつけていませんでした)を潰して、新しい家を建てました。その家にも庭を作ったので、わが家は庭を二つ持つことになったのです。車の出し入れや農作業には古い方の庭を使っていたので、新しい庭はただの「観賞用」。無意味に高そうな(w)大きな石をいくつも置いて、そこに母親が花をつける野草の種をまきました。上記の「お花畑」も含めると二十種類近くあるので、実家の庭では一年を通して、いつもどれかの花が咲いています。

・・・ということで、今日のテーマは「花」です。

さて、フランス語に“se jeter des fleurs/自分に花を投げる”という表現があります。

se jeter des fleurs

例の通りネットで検索してみると : “dire de bonnes choses sur soi-même/自分自身について良いことを言う de bonnes choses sur soi-même/自分自身について良いことを言う”、“faire des compliments à soi-même/自分自身を称賛する”。別のサイトでも“se faire des compliments/自分を称賛する”。ヴァリアントとして、“se lancer des fleurs/自分に花を投げる”、“s’envoyer des fleurs/自分に花を送る”という言い方もありますが、要するに、自分のことを自慢する、自画自賛するということです。

使用例としては“Arrête de te lancer des fleurs !/自慢するのはよせよ”、“Je suis, sans me jeter des fleurs, une jolie fille/私は、自慢するつもりはないけど、カワイイ女の子よ”。あるいは、“Il se lance des fleurs tout le temps/アイツはいつも自慢話をしている”。最終例のように、本人のいないところで多少の批判を込めて使うのが、一番普通かもしれません。

私の大学一年・二年次の語学(英語・フランス語)のクラスの同級生に、変に自惚れが強く、いつもいつも自分のことを賛美している男がいました。柔道の有段者で、クラシック音楽に造詣が深く、何より文学・哲学について他の友人たちを圧倒する知識を持っていましたから、自然と仲間内ではリーダーのような存在となり、そのことがまた彼の自惚れに拍車をかけて、自慢話に花を咲かせることになったのでしょう。まぁ、相手が私だから言っていたのかもしれませんが、無邪気に「オレって○○で、なかなか凄いんじゃないかなぁ」と、ニコニコしながら話すのです。根はいい男で、私は嫌いではなかったのですが、上から目線で他の友人を批判することも多々あったので、劣等感に凝り固まったK君(以前ここで書いた「墓石が洋服を着て歩いているような男w」です)などは、彼のことを心底嫌っていたようです(https://lecoledefrancais.net/un-homme-qui-broie-du-noir/)。

その後、彼は留年したり大学院の入試に失敗したりした結果、予備校の英語教師になりました。授業は上手だったらしく、一時は業界最大手の一つで教えていたこともあったのですが、クセの強い性格が災いしたのか、一部の生徒から苦情が出て、解雇。それから転職した個人経営の小さな塾も、数年で倒産してしまい、彼は郷里の秋田に帰りました。今では実家に住んで、家庭教師をして生活しているようです。

もう20年以上も会っていませんが、大学時代の、天衣無縫と言ってもいい彼の言動を思い出すと、思わず微笑んでしまいます。

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