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自分のお皿の中にいない(ne pas être dans son assiette)

投稿日:2021年9月27日

こんにちは。バゲットです。

私は収入の少ない「恵まれない階層(classe défavorisée)」の人間なので、つね日頃、可能な限り質素な生活を送るよう心がけています。語学研修費と書籍代を除いた私の生活レバルは、一人暮らしの大学生と同じ程度のものでしょう。そう言えば数年前、勤務先の大学のキャンパスで、ほとんどの学生が私より良いカバンを持ち、私より良い靴を履いていることに気づいて、思わず苦笑したことがありました(←実話w)。
そんな「貧乏人」ですから、私は「特売」に目がありません。近所のスーパーで、私がよく食べる商品を(+あまり食べない商品もw)普段より安い値段で売っていると、私はついつい欲張って余分に買ってしまうのです。たとえば何年か前、三茶のドラッグストアで、「日清のどん兵衛/天ぷらそば」が一個85円で売られていたときのこと。私は狂喜し、ためらいもせずにまるごと一ケース(24個)を購入してしまいました。結局、五つくらい食べたら飽きてしまい、その後放置しておいて、賞味期限間近になって毎日「どん兵衛」ばかり食べるハメになりましたがw。
「特売」でさえそんな有様ですから、「無料」については言を俟たないでしょう。実際、「只」という言葉を耳にするたび、私の判断力は瞬時に「パブロフのイヌw」並に低下し、私は「条件反射(réflexe conditionné)ww」で飛びついてしまうのです。7年前(2014年)、「はごろもフーズ」が「ちびまる子ちゃん」のお皿をプレゼントするキャンペーンを実施したことがありました。「はごろも」の缶詰を買ってシールを集めると、「ちびまる子ちゃん」の絵が入ったお皿が只(!)でもらえる。私は「ちびまる子」には何の思い入れも持っていませんでしたが、お皿を三枚ゲットするために、普段は全く食べない(!!)「シーチキン」の缶詰を、大量に購入したのでした。

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と言うことで、今日のテーマは「お皿」です。
フランス語に“ne pas être dans son assiette/自分のお皿の中にいない”という表現があります。ネットで調べてみると(https://www.expressio.fr/expressions/ne-pas-etre-dans-son-assiette)、それが意味するところは“ne pas être dans son état normal/正常な状態にない”、“avoir le cafard/ひどく落ち込んでいる(←ゴキブリを持っている)”、“ne pas être très en forme/あまり好調でない”、あるいは“se sentir malade/気分が悪い”。
念のために別のサイトも見ると、“être fatigué/疲れている”とあって、この“fatigue/疲れ”は、“physique/身体的”なものでも“psychologique/心理的”なものでもよい、と解説しています。
要するに、身体的あるいは精神的に「調子が悪い、疲れている、参っている」ということ。ネイティヴ何人かに確認しましたが、あくまでも「一時的で軽い不調」について言い、「病気で寝込んでいる/入院している」ような重大なケースでは使わないそうです。ですから、軽い身体的不調があるとき、疲労感や倦怠感があるとき、あるいは何か問題があって悩んでいるとか落ち込んでいるとき、そんなときに“Je ne suis pas dans mon assiette/僕は自分のお皿の中にいないよ”と言うわけですね。

Ne pas être dans son assisette

それにしても、なぜ「自分のお皿の中にいない」のでしょう。上のサイト(↑)に説明がありました。それによれば、“assiette/取り皿”という語は“asseoir/座らせる”に由来し、もともとは「座り方」、特に「馬上での騎士の姿勢」を意味しました。そこから、この語は身体や精神の「状態」の意味に転じ、「自分本来の姿勢ではない/ne pas être dans son assiette」が「(身体的・精神的に)調子が悪い」を意味するようになった、ということです。
さらに、同じサイトに「補足」があります。なぜ「座り方」を意味する“assiette”が、「取り皿」(“plat/大皿”ではなく)の意味になったのか。その解説によれば、この言葉は「テーブルについた会食者の姿勢」の意味になって、そこから「各席に置かれたテーブルクロスとナプキン」、さらに意味が転じて「取り皿」になった、ということのようです。

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上で書いた「ちびまる子」のお皿ですが、直径21センチと大きさも手頃で使い勝手が良いので、もらってすぐに使い始めました。で、使ってみて思ったのですが、その絵柄を見ていると何となく心が「和む」のです。「ほっこり」した気分になる。
しかし、お皿自体はやはり「只」の粗悪品(と言っては、「はごろも」には申し訳ないですが)。一枚目のお皿は二年程度で真っ二つに割れてしまい、二枚目も同様で、今使っているのが最後の一枚です。
このお皿が割れてしまったら、とうとう「ちびまる子」ともお別れです。そのときは私も大いに落胆して、“Je ne suis pas dans mon assiette/僕は自分のお皿の中にいないよ”と嘆くでしょう。

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