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ホウレン草にバターを入れる(mettre du beurre dans les épinards)
投稿日:2019年5月1日
こんにちは。バゲットです。
今回はホウレン草について書きましょう。
私の実家の周囲には果樹園と小さな畑があって、畑では今でも母がいろいろな野菜を栽培しています。そうした野菜の中で、私は子供のころからホウレン草が好きでした。それは大人になっても変わらず、数年前にはホウレン草カレーを作るためだけに、フードプロセッサーを購入したほどです。
この記事を構想するまですっかり忘れていたのですが、フランス語教育研修で派遣されたカーン大学(Université de Caen)のレストランでも、ホウレン草(épinards)をよく食べました。研修生(=母国ではフランス語の教師たち)には一般の学生とは別のホールがあてがわれ、そこでは学生たちよりちょっと「格上」の料理が出されます。オードブル、野菜、肉・魚、デザートとあって、それぞれ何種類かある中から一品(オードブルは二品)ずつ選ぶのです。6種類の野菜の中には、ホウレン草もありました(他はライス[←野菜です]、ジャガイモ、ニンジン等です)。こんな感じ(↓)の料理だったように思います。

考えてみれば、私はその時以来、一度も食べたことがありません。「食べたい!」と思って、フランスの料理サイト「マルミットン(marmiton)」で検索したら、レシピが見つかりました(https://www.marmiton.org/recettes/recette_epinards-cremeux_27147.aspx)。
「エピナール・クレムー(épinards crémeux)」という料理で、日本語にすると「ホウレン草のクリーム煮」。「とても簡単(très facile)」で「安く(bon marché)」て「所要時間は25分(temps total : 25 min)」。フランス語のできない方のために、暴力的に単純化しつつレシピを要約すれば、ホウレン草にバターを入れて蒸し煮にして、ニンニクとクリームとナツメグと塩・胡椒を入れて、混ぜるだけ。これなら私でも作れそうです。「ナツメグ」って、何のことか知らないけどw。まぁ、近日中に試してみましょうか。
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フランス語に mettre du beurre dans les épinards(ホウレン草にバターを入れる)という表現があります。ネットで検索してみると(たとえばhttp://www.linternaute.fr/expression/langue-francaise/222/mettre-du-beurre-dans-les-epinards/)、意味するところは、améliorer ses conditions de vie (生活条件を改善する)、さらに補足として en général dans le domaine financier (一般に財政の領域で)とあります。要するに、金銭面で「生活が楽になる」ということですね。

生活が楽になって、ホウレン草にバターを入れる余裕ができて、美味しい料理を食べることができるという連想ですが、いかにも、料理好きなフランス人が考えつきそうな表現です。
さて、20年ほど前のこと、文部科学省の方針が変わって、大学での第二外国語が必修ではなくなりました。その煽りをモロに受けたのが、私たち大学の語学教師、特にフランス語とドイツ語の教師です。履修する学生が激減し、それに伴い担当する授業数(=収入)も減少したからです。
私も一時はパニックをおこし(w)、部分的な転職を視野に入れて法律系の資格を複数取得したり、英会話の勉強を始めたりと、悪戦苦闘したこともありました。ところがそんな風にジタバタ(w)している内に、昨年の4月ですが、とうとう住宅ローンの返済が終了したのです。
溺れそうでワラをつかんでいた手が、気づいてみたら陸地に触れていたような、そんな気分です。私もこれからは、ホウレン草にバターを入れることができるでしょう。