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復活祭とチョコレートのタマゴ(Pâques et des œufs en chocolat)

投稿日:2019年4月19日

こんにちは。バゲットです。

フランス語の勉強を始めたばかりのころ、「日曜日」に対応する語を知ったときは、ちょっと戸惑いました。「月」が lune で「月曜日」は lundi、「火星」が Mars で「火曜日」は mardi。ところが、「太陽」は soleil なのに「日曜日」は dimanche なのです。英語の日曜日は「Sunday=太陽の日」ですから、やっぱり奇妙です。
そんなことがあったので、ずっと後になって、dimanche が「主=イエス・キリストの日」を意味することを知ったときは、何か胸のつかえが取れたような、目からウロコが落ちたような気がしました。と同時に、そのとき初めて日曜日が休日である理由を知って、少し驚きました。
そんなことを知らなかったのは私だけなのかもしれませんが、念のために書いておけば、日曜日が休日なのは、それがイエス・キリストが復活した日だからです。実際、キリストは金曜日に十字架に架けられて絶命し(それが、金曜日が不吉とされる理由の一つです)、二日後の日曜日に復活しました。だから、カトリック教会では日曜日にミサが行われるのだし、キリスト教徒にとって日曜日は「安息日」なのだし、古代ローマ帝国の時代から日曜日は休日なのです(註)。
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ということで、キリストが復活した日、すなわち「復活祭」。キリスト教ではクリスマス(Noël)を上回る最大のイベントで、クリスマスが12月25日に固定されているのに対し、こちらは年によって日付が変わる移動祝祭日(fête mobile)です。「春分の後の最初の満月の日の次の日曜日」という、天文学者でもなければいつになるか分からないような日で、19年は4月21日がそれにあたります。各地の教会で大規模なミサが執り行われますが、著名な大聖堂(cathédrale)はキリスト教徒のみならず、興味本位wの観光客も殺到して、立錐の余地もないほど混むそうです。
フランス語では Pâques と言い、無冠詞で用います。「復活際には」と時の副詞にするときは “à Pâques”、「復活祭おめでとう」は “Joyeuses Pâques !” ですね。
子供たちが楽しみにしているのが「復活祭のタマゴ(œufs de Pâques)」(↓)。

復活祭のタマゴの画像

復活祭の朝のプレゼントで、昔は茹でタマゴを彩色していたそうですが、現在は卵形のチョコレートが主流だとのこと。プラスチックのタマゴを使い、中にお菓子を入れることもあるそうです。前夜にウサギ(復活祭のウサギ=lapin de Pâques)が来て置いていくという伝承があって、子供たちは朝起きると、屋内や庭でこのタマゴを探します。
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キリストは神だから復活しましたが、一般の人間は一度死んだら(少なくとも「最後の審判の日」までは)復活したりはしません。
さて、アメリカの作家ダン・シモンズの小説『ハイペリオン』(←超有名なSF)には、復活する(=生き返る)部族が登場します。彼らは、もとは銀河系の辺境の惑星に移住した地球人です。どういう訳か、胸に赤い十字架(←キリスト教への示唆)を埋め込まれていて、病気や事故で死亡しても、その赤い十字架が残っている限り、「復活」するのです。その部族は、当然、その惑星に植民した当時は高度な科学文明を持っていました。ところが数百年後、小説の物語に登場するときは原始的な狩猟・採集の生活をしています。
詳述はしませんが、私には非常に説得力のある「末路」のように思えます。そんなものでしょう、「不死」を手に入れた人類なんて。

註・321年、ローマ皇帝コンスタンチヌス1世が日曜日を休日と定めました。

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