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カエルを食べる(manger la grenouille)

投稿日:2022年10月11日

こんにちは。バゲットです。

フランス料理に普通に使われる食材で、多くの日本人にとって馴染みのない物と言えば、何があるでしょう。「答え」は人によって異なるのかもしれませんが、私なら、カタツムリとウサギとカエルだと答えます。少なくとも、私個人にとって「馴染みがない」のは事実で、実際、私はそれらをそれぞれ一度ずつしか食べたことがありません。まあ、その最大の理由は、私が根源的に「貧乏人階級w」の人間で、フレンチレストンになど滅多に行けない、ということでしょうが。

カタツムリ(escargot)を食べたのは、私が博士課程の学生のときでした。夏休みに研究室の学生一同で指導教授のお宅に遊びに行ったとき、先生の奥さまが作って下さったのです。「サザエみたいなものだ」と言われていたので、何の抵抗もなくいただきましたが、バターの味付けが、すごく美味しかったのを覚えています。

ウサギ(lapin)を食べたのは、フランス滞在中に「食通」を自任する友人に連れられて、一つ星レストランに行ったとき。彼の勧めで「ウサギのホワイトシチュー」を注文したところ、ウエイトレスが持ってきた大きなお皿には、皮を剥がれたウサギがまるまる一匹、白いソースをまとって乗っています。テニスボールくらいの頭蓋骨があって(←よく覚えていないのですが、あったような気がします)、背骨はあり得ない角度で曲がっていて(←これは間違いありません)、私の意識には彼(女?)の生前(w)の姿がまざまざと(ww)浮かんできて、気持ち悪くて料理を味わう気分にはなれませんでした。

カエル(grenouille)は比較的最近、新型コロナ(covid-19)蔓延の前の勤務先大学の懇親会でのことでした。見たことのない小さなフライがあったので、同僚に尋ねたら、「カエル」だとのこと。もも肉のフライでしたが、私が考えていたよりずっと小さくて、日本の「トノサマガエル」くらいの大きさです。このときも、頭の片隅に、子供のころよく捕まえたトノサマガエル(←農村地帯で育ったので、たくさんいました)の姿がありありと(www)蘇り、気持ち悪くなって、私は二、三個しか食べられませんでした。

ということで、今日のテーマは“grenouille/カエル”です。

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フランス語に“manger la grenouille/カエルを食べる”という表現があります。いつものようにネットで調べてみると(https://www.expressio.fr/expressions/manger-bouffer-la-grenouille)、“partir avec la caisse/金庫を持って逃げる”、“dépenser l’argent d’un groupe/グループの金を使い込む”、“s’approprier l’argent d’autrui/他人の金を自分のものにする”などとあります。要するに、公金や会社の金を「横領する」ということですね。

Manger la grenouille

上のサイトで「由来」を読んでみると、18世紀には貯金箱(tirelire)は「カエル」の形をしていたそうで、この表現は「他人の貯金を使ってしまう」ことから来ているようです。

実際の使用法は限られるでしょうが、例えば“Il a mangé la grenouille/アイツは会社の金を使い込んだ”とか、“Il paraît qu’elle mange la grenouille/あの女は事務所の金を使い込んでるらしい”などと言えると思います(註)。

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上でも書いたように(てか、何度も書きましたが)、私は千葉の山奥の農村地帯で育ちました。家の周囲には水田がたくさんあって、子供のころ、夜になると食用ガエル(=ウシガエル/夜行性)の鳴き声が聞こえることがありました。「捕まえて食べよう」と、何度か、父に連れられて闇夜の中を探しに行ったことを記憶しています。実際に捕まえたことは一度もなかったように思いますが、今になってみると、ちょっと懐かしい思い出です。

註・フランス人二名に尋ねてみましたが、二人ともこの表現を知りませんでした。『プチ・ロワイヤル仏和辞典』には載っていますが、実際には一部の人しか使わない表現なのかもしれません。

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