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フランス語・部分冠詞と不可算名詞(Les articles partitifs et les noms non-comptables)

投稿日:2021年1月27日

明けましておめでとうございます。バゲットです。
昨年中は当ブログをご愛読いただきまして、どうもありがとうございました。本年もよろしくお願い申し上げます。

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さて、昨年春にアップした「フランス語・不定冠詞と定冠詞(Les articles définis et indéfinis)」(https://lecoledefrancais.net/les-articles-definis-et-indefinis/)は、大変なご好評をいただいたようです。そこで今回はその「続編」ということで、「部分冠詞(articles partitifs)」について書きましょう。

まずは「基本」から。部分冠詞は、①具体的に存在する(=抽象的ではない=一般論/ジャンルではない)、②不特定の(=どれを指すか聞き手がわからない/どれでもいい)、③不可算名詞(=「数」ではなく「量」や「強度」で捉えるべきもの=食べ物/飲み物、人の性質/感情など)につけて用います。
形は三通りあってdu+男性名詞(du café/コーヒー、du courage/勇気)、de la+女性名詞(de la viande/肉、de la tristesse/悲しみ)、de l’+母音または無音のhで始まる男性・女性名詞(de l’eau/水、de l’amitié/友情)。「不可算名詞」ですから「複数形」はありえません。
「部分冠詞は若干量を示す」と書いてある教科書・参考書もありますが、私はその言い方には違和感を持っています。たとえば「紅茶(du thé)を飲む」なら、カップ一杯か二杯でしょうから「若干量」でもいい。でも、「ビール(de la bière)を飲む」なら一リットル以上飲む人もいますし、北国で雪が降って「庭に雪(de la neige)が積もっている」だったら膨大な量になるでしょう。あるいは同じ「雪」でも、「両手ですくう」なら量はお茶碗一杯くらい。ですから、「量」については「若干量」というより、「適量(=具体的な量は示しておらず、ものによって異なる、場合によって異なる)」と言ったほうがよいように思います。
さて、このように部分冠詞は「不特定」の不可算名詞につけて適量を示すわけですが、逆に言えば不可算名詞でも「特定のもの」(=どれを指すか聞き手がわかっている)には、定冠詞を用います。“ J’apporte du vin/ワインを持ってくるよ”ですが、“ Le vin que tu m’as apporté était délicieux/キミが持って来たワインはとても美味しかった”です。
また、「具体的なもの」ではなく、「抽象的なもの=一般論/ジャンル」を言うときも定冠詞。“ J’aime le vin/私はワインが好きだ”ですね。

Aimer le/les gateaux

それでは、「不可算名詞」と「可算名詞」はどのように区別すればよいのでしょうか。
上では「不可算名詞」は「『数』ではなく『量』や『強度』で捉えるべきもの」につけると書きましたが、実は「可算/不可算」のこの区別は複雑怪奇で、細かいことを言い出すと切りが無いのです。しかし前提として、この区別が最終的には大した根拠のない「ただの習慣」であることは覚えておいた方がいい。「ただの習慣」だから理屈で説明しにくいこともあるし、英語とフランス語で異なることもあります。たとえば英語でinformation/news/homeworkは「不可算名詞」ですが、それに対応するフランス語のinformations/nouvelles/devoirs(すべて複数形で書きました)は「可算名詞」なのです。
また、「可算/不可算」両方可能な単語もあって、ケースによって使い分けることにも注意してください。フランスパン(バゲット)は、パン屋さんで買うときは「可算」ですが(une baguette, deux baguettes)、食べるときはまるまる一本食べる人はめったにいませんから、「不可算」(de la baguette)。仮に大食漢がまるまる一本食べるなら、“une baguette/可算”と言うことも可能ですが、それはあくまでも例外的なケースでしょう。
あるいは「魚」も同様。魚釣りに行ったときは、「10匹(dix poissons)釣れたよ/可算」と言えますが、「魚を料理する(préparer du poisson)」では「不可算」。釣っているときの魚は数えられますが、まな板の上に置いたら数えられなくなる。「食べ物」になってしまうと、「数」より「量」で考える方が適切だからです。ただしこちらも、たとえば鮎の塩焼きを頭から尻尾まで骨ごとバリバリ食べるなら、“ un poisson/可算”と言えないわけでもない(もちろん実際には「まれ」でしょうが)。
同じように、「(農家の)私はウサギを飼育する」は“ J’élève des lapins/可算”、「私はウサギ(の肉)を食べる」は“ Je mange du lapin/不可算”。「私は(ペットとして)ウサギが好き」は、“ J’aime les lapins/可算”、「私はウサギ(の肉)が好き」なら、“ J’aime le lapin/不可算(以上、一般論/ジャンルについて語っています)”です。

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不定冠詞(un, une, des)/部分冠詞(du, de la)/定冠詞(le, la, les)の区別が難しい理由の一つは、そこに三通りの分類が介入することでしょう。つまり、抽象的(=一般論、ジャンル)/具体的、特定/不特定、可算/不可算です。小学校レベルの算数で言えば、2×2×2=8通りに分かれます(実際には「抽象的なもの」に「特定/不特定」の区別はありませんから、8通りにはなりませんが)。
これら三通りの分類において、抽象的なもの(=一般論、ジャンル)はすべて「定冠詞」(le, la+不可算、les+可算複数/数えられるものは「複数」が原則)を用います。具体的に存在するもので特定のものも「定冠詞」。
具体的に存在するもので不特定のものは、「可算なら不定冠詞/不可算なら部分冠詞」です。
難しいかも知れませんが、アタマの片隅に置いておくとよいでしょう。

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