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ゴキブリを持つ(avoir le cafard)

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こんにちは。バゲットです。

何度も書いたように、私は千葉県の片田舎で育ちました。そして高校卒業後に上京し、世田谷区池尻のアパートに入居しました。義理の叔母の実家がアパートを経営していたので、自然の成り行きでそこに住むことになったのです。
当時は東急新玉川線(現在の田園都市線)が開通したばかりで、渋谷からわずか一駅。駅までも歩いて二分と、場所に関しては申し分ありません。しかも親戚なので家賃も割り引いてもらえるし、ときどき差し入れもある。
でもその反面、そのアパートは建物が古くて、ゴキブリが出るのです。私は当時、食事はほとんどが外食で、部屋にゴキブリのエサになりそうなものはあまり無かったはずですが、それでもゴキたちはやって来る。
大学三年か四年の夏だったように思います。夕刻、風呂から出てきて椅子に座り、缶コーヒーを飲みながら、プロ野球の巨人戦を観ていたときのこと。その日は橋本というピッチャーが投げていたことを、今でもはっきりと覚えています。テレビに目を向けたまま、机の上に置いた缶を左手で取ってコーヒーを口に含むと、口の左上に奇妙な違和感がある。私は何が起きたのか分かりませんでした。次の瞬間、私の口の上から何か茶色いものがブーンと音を立てて飛び降りて、カサカサカサと逃げていく・・・。ゴキブリだ!! 私が飲んだ缶コーヒーに、何と、ゴキブリがくっついていたのです!!!
私はパニックになって、口に含んだコーヒーを畳の上に吐き出しました。で、そのまま洗面所に急行。直ちに数回うがいをし、顔を石けんで洗って、歯を磨きました。私の人生であんな「おぞましい」経験をしたのは、あのとき一度限りです。
※ ※ ※
さて、フランス語で「ゴキブリ」は“cafard”。しかし、いつものようにネットで調べてみると(https://www.expressio.fr/expressions/avoir-le-cafard)、この語には四つの意味があるらしい。もともとはアラビア語から借用された言葉のようで、現在では失われてしまった最初の意味は、「信心深くないのにすごく信心深いふりをしている人(une personne non ou peu croyante qui faisait croire qu’elle l’était profondément)」。この意味が転じて、「密告者(une personne qui dénonce les autres)」を指すようになる。「裏表のある偽善者」というニュアンスなのでしょう。第一の意味は別様にも変化して、昆虫の「ゴキブリ」になった。「黒い服を着て、隠れて物事を行う(vêtu de sombre et qui fait les choses en cachette)」ことからの連想だそうです。
で、今回のテーマです。“avoir le cafard/ゴキブリを持つ”で、「暗い考えを持つ(avoir des idées noires)」「(精神的に)落ち込んでいる(être déprimé)」。ここで「ゴキブリ」は「ふさぎの虫」「憂鬱」の意になっている。なぜそのような意味になったのかは諸説あるようです。上のサイトでは、ボードレールが『悪の華』で使っているとか、アフリカの外人部隊(légion)が起源だ(←ゴキブリは「多数/légion」で、暗い考えが頭の中で「ひしめく/grouiller」ように「群がる/grouiller」)とか書いてある。しかし、他のサイトには、貧困とボロボロの家でのゴキブリの存在が「悲しさと消沈の感情(le sentiment de tristesse et de déprime)」を与え、そのことから上記の言い回しが生じた、とありました。

Avoir le cafard

使い方としては、たとえば“Elle a le cafard depuis quelque temps/彼女は最近落ち込んでいる”などのように言えばよいでしょう。
※ ※ ※
私は大学入試で第一志望の受験に失敗し、浪人して滑り止めの大学に入りました。前年は本命一本で臨んだので、受験さえしなかった大学です。入学当初はひどく落ち込んでいて、頭の中でゴキブリ(cafard)に脳ミソを囓られている(w)かのような状態でした。院生時代、恋愛に失敗したときも落ち込みました。失恋は初めてではありませんでしたが、あのときはまるで頭の中がゴキブリ(cafard)の巣になったかのように(w)苦しみました。
今になってみれば、二回とも本当に「小さな挫折」だとしか思いませんがww。

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