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キリスト昇天祭と聖霊降臨祭(L’Ascension et la Pentecôte)

投稿日:2019年6月13日

こんにちは。バゲットです。

私が若いころ、毎年、私の誕生日(anniversaire=記念日)になると、旧ソビエト連邦の赤の広場で、盛大な軍事パレードが催されました。その日、11月7日は私が生を受けた日であると同時に、1917年にロシアで共産主義革命が勃発した日、すなわち「革命記念日」だったのです。
当時は米ソ冷戦の真っ只中。明言する人はあまりいませんでしたが、日本にとって旧ソ連は「仮想敵国」です。その国が私の誕生日を軍事パレードで祝うのです。私はテレビでその光景を見るたびに、プライドをくすぐられると同時にバカにされているような、腹立たしいと同時に誇らしいような、何だかわけの分からない、ひどく不思議な気分になったものでした。
その後、大学に入ってフランス文学を勉強し、11月7日がアルベール・カミュ(Albert Camus)の誕生日であることを知りました。私とカミュは誕生日が同じなのです。カミュの小説や戯曲は好きだったので、こちらの方は素直に喜び、友人たちにも自慢しまくりましたw。そんなこともあって、後に知人の一人がドストエフスキー(Dostoïevski)と同じ誕生日(11月11日)だと知ったときは、微妙な「敗北感」を感じたものですがw。
で、ここで話は大きく飛躍しますw。最近フランスでは、キリスト教関連の二つの大きなイベントがありました。「キリスト昇天祭(今年は5月30日/祝日)」と「聖霊降臨祭(同じく6月9日/翌月曜日は休日)」です。「これも一種の記念日(anniversaire)だなぁ」(←ちと、強引かもしれませんがw)と思い、何を「記念する」日なのか、ちょっと調べてみました。
※      ※      ※
イエス・キリストは金曜日に十字架にかけられて死去し、翌々日の日曜日に復活します。それを祝うのが「復活祭(Pâques)」。
復活したイエスはいろいろな人の前に姿を現わします。弟子たちの前にも現れて、福音を全世界に伝えるよう命じます。そして彼らが見ているなか、イエスは天に昇るのです。「復活祭」から数えて40日後のこと。そのことを祝うのが「キリスト昇天祭(L’Ascension)」だったのです。
復活祭が日曜日ですから、昇天祭は自動的に木曜日になります。複数のフランス人に確認したところ、当日は教会でミサが行われ、家族によってはお墓参りに行ったりするそうですが、それ以外に特にパーティーを催したりする習慣はないそうです。ただ、翌日の金曜日を休みにして、四連休になる職場も多いとのことでした。

聖霊降臨祭

昇天祭の10日後が「聖霊降臨祭(la Pentecôte)」、こちらは日曜日です。イエスは昇天する直前、弟子たちに「近いうちに聖霊が降る」と予言していました。そしてその日、イエスの弟子や身内たちが「エルサレムの上の部屋(le Cénacle de Jérusalem)」(←「最後の晩餐」が行われた部屋)で祈っていると、「猛烈な風(vent impétueux)」のような音が聞こえ、天から「舌の形をした炎(langues de feu)」が各人の上に降って、「彼らは皆聖霊によって満たされた(ils furent tous remplis du Saint Esprit)」のです。このことを祝うのが聖霊降臨祭ですが、この日も特にパーティー等は行わないそうです。翌月曜日が国民の祝日です。

エリック=エマニュエル・シュミット(ピラトによる福音書)

さて、フランスの作家エリック=エマニュエル・シュミット(Éric-Emmanuel Schmitt/国際的に著名な劇作家)に『ピラトによる福音書(L’Évangile selon Pilate)』という小説があります。イエスを十字架にかけたローマ総督ピラトの視点から、イエス・キリストの復活を描いた小説です。私は原書で読みましたが、設定が独創的でストーリーも面白く、大いに楽しむことができました。邦訳もあって、タイトルは『小説 イエスの復活』(https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000053702001.html)。現在は「品切れ」ということですが、興味をお持ちの方は図書館で探してみたらいかがでしょう。なお、原文も平易なので、フランス語の得意な方は原書でどうぞ。

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