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「諸聖人の日」って何?(Qu’est-ce que la Toussaint ?)

投稿日:2018年10月31日

こんにちは。バゲットです。

一ヶ月ほど前に書きましたが、フランスでは国民の祝日は年間11日あって、うち6日がキリスト教に関連したものです。再度記しておけば、それらは「復活祭の月曜日(移動祝日、2018年は4月2日)」、「キリスト昇天祭(移動祝日、同じく5月10日)」、「聖霊降臨祭の月曜日(移動祝日、同じく5月21日)」、「聖母被昇天祭(8月15日)」、「諸聖人の日(11月1日)」、そして「クリスマス(12月25日)」。
「復活祭」と「クリスマス」は非キリスト教徒の間でも有名ですし、その他の祝日も日本語の訳語から何となくその趣旨はわかります。しかし「諸聖人の日」だけは、おそらく多くの方が、「一体何の日なのだろう」と首をひねるのではないでしょうか。タイミング(11月1日です!)も良いので、少し調べてみました・・・。
「諸聖人の日(Toussaint)」は、ローマカトリック教会が、「有名無名を問わず、すべての聖人(=tous les saints, connus et inconnus)」を祝福する日です。
ウィキペディア・フランス語(+日本語・英語)ヴァージョンによれば、紀元後4世紀にはすでに「すべての殉教者(tous les martyrs)をたたえる(honorer)」祭日が存在していました。初期キリスト教はローマ帝国で苛烈な弾圧を受け、膨大な数の殉教者が生じたため、彼らを祝福する日を制定したのです。それは当初、「聖霊降臨祭の後の日曜日(le dimanche après la Pentecôte=2018年は5月27日)」でした。その後、7世紀初頭に一旦、5月13日に移りますが、8世紀の前半、教皇グレゴリウス3世(在位731-741)がローマのサン・ピエトロ大聖堂(Basilique Saint-Pierre)に、使徒とすべての聖人・殉教者のためにチャペルを建造し、これを機に「殉教者をたたえる日」は5月13日から11月1日に移ります。
この11月ヴァージョンは、シャルルマーニュ(Charlemagne、在位800-814)の時代にはすでに広く受け入れられていたようです。そして835年頃、教皇グレゴリウス4世(在位827-844)が教皇勅書を出し、「すべてのキリスト教徒(toute la chrétienté)」が「諸聖人の日」を祝うことを命じたのでした。
では、この日、フランス人たちは何をするのでしょう。
ご先祖さまのお墓参りをするのです(↓)。

死者の日の様子

たいていのフランス人の先祖に「聖人」や「殉教者」がいるというわけではありません。翌11月2日が「死者の日(commémoration des fidèles défunts)」として、死者の魂のために祈りを捧げる日に定められているからです。つまり、11月1日は「諸聖人の日」で国民の祝日ですが、2日は休日ではないため、1日にお墓参りをすることが習慣になったのです。
※      ※      ※
さて上記のように、「諸聖人の日」は、有名無名を問わず、またローマ教皇庁によって「列聖(canonisation)=『聖人』と認定」されているか否かを問わず、すべての聖人と殉教者をたたえる日です。と言うことは、日本で豊臣秀吉や徳川幕府によって処刑された「キリシタン」の人たちも、祝福される「諸聖人」に含まれるのです。そう考えれば、私たちも「諸聖人の日」を、少し身近に感じることもできるのではないでしょうか。

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