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終戦と聖母被昇天祭(la fin de la guerre et l’Assomption de Marie)

投稿日:2019年8月30日

こんにちは。バゲットです。

皆さま、お盆休みはどのように過ごされたのでしょうか。私は例年通り、千葉の実家に帰ってお墓参りをし、母や弟とおしゃべりをしたり家の近所を散歩したりして、数日ですがのんびりと過ごしました。

散歩の一環で、幼いころに通った小学校に数十年ぶりに行ってみると、校庭の隅に日清、日露、アジア・太平洋戦争の「戦没者の碑」が建っていました。「村」から出征して戦死した人たちの氏名と享年が刻まれた石碑です。140名ほどの名前があって、多くは20代前半。18歳、19歳で亡くなった人もいて、女性もいます。その数の多さと若さとに、哀れみと悲しさとやり切れなさが混じった、何とも言えない気分になりました。

さて、言うまでもなく、日本では8月15日がアジア・太平洋戦争の終戦記念日です。この日は、昭和天皇が玉音放送で国民に終戦を告知した日ですから、日本との間に大きな戦闘のなかったヨーロッパ諸国では終戦の日にはなりません。フランスでの「第二次大戦戦勝記念日(Victoire du 5 mai 1945)」は、ナチス・ドイツが降伏した5月8日で、「国民の祝日(fête nationale)」の一つです。

ところが意外なことに、フランスでは8月15日もまた「祝日」です。この日はフランスを始めとするカトリック諸国では、「聖母被昇天(せいぼひしょうてん/l’Assomption de Marie)」の日なのでした。

聖母被昇天

以前にも書きましたが、フランスは古くから「ヴァチカンの長女(la fille aînée de l’Église)」と言われ、世俗化された現代でも国民の60%以上がカトリック教徒です。そのため年間11日ある「国民の祝日」のうち、6日がキリスト教関係の日になっています。その一つ「聖母被昇天祭」は、その名のとおり、聖母マリアが天に召された日。

聖母マリアの像を掲げた宗教行列

その日、フランスのみならずベルギー、スペイン、イタリア等の各都市では、聖母マリアの像を掲げた宗教行列が行われます。上の写真でも左にマリアの像が写っていますね。行列が終わった後は、花火を上げる等のお祭りがあるそうです。

パリでは、前日14日の夜、セーヌ川にいくつもの船を浮かべて行列を行います。参加者(pèlerins=巡礼者)たちは手にロウソクを持って、祈りの言葉を唱えます。

  •      ※      ※

この件について調べていて偶然に知ったのですが、カトリックではマリアは「原罪」を免れているそうで、しかもそれはイエスを身ごもったときに免れたのではなく、母アンナの胎内に宿ったときからそうだったということです。それが12月8日の出来事。なんと、真珠湾攻撃の日じゃないですか!

つまり、日米の太平洋戦争はマリアの「無原罪の御宿り(むげんざいのおんやどり/Immaculée conception)」の日に始まり、「聖母被昇天」の日に終わったのです!!

日本側は国家神道を掲げて戦ったわけですから、そうなると、これはもう「神々の戦い」と言ってもよい。で、現人神であるヒロヒトが聖母マリアに負けたわけ。何となく、もともと格が違いすぎて、勝ち目がなさそうな気もしますがw。

てか、聖母崇敬はカトリックの教義だから、プロテスタントが主流のアメリカとは関係ないかも知れないけどww。

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