サイトロゴ

レコールドフランセ フランス語学校 へようこそ!

03-3363-6603

blog 未分類

枝の上の鳥のように(comme un oiseau sur la branche)

投稿日:

こんにちは。バゲットです。

私が若いころにはどこの大学でも第二外国語が必修で、大部分の学生はフランス語かドイツ語を選択していました。そのためフランス語の教師も仕事はたくさんありました。
事情が変わったのは2000年代半ばのこと。文部科学省が方針を転換し、大学で第二外国語を「必修」にする必要がなくなったのです。まずは入学偏差値下位の大学から第二外国語を「選択科目」とする大学が増え始め、ついで偏差値中位、さらには上位の大学・学部へと伝播します。そこに中国語の伸長と、2010年以降はスペイン語の人気も高まって、大学のフランス語の受講生は激減。私の勤務先の一つでは、2,000人以上いた履修者が400人台まで減りました。
その煽りを食ったのが教師たち。クラス数が減少し、専任の教員が定年退職しても、後任を採用しなくなる。小規模な大学・短大では、フランス語の授業が全面的に廃止されて、専任教員なのに解雇される事態まで生じます。非常勤講師には雇い止めや授業減が続出し、私自身も担当コマ数は一番多かったときの6割程度まで減っています。私の知人では大学教師では食べて行けなくなって、40代半ばで転職した人もいます。安い時給でアルバイトに明け暮れている人も、多分たくさんいるでしょう。今では大学のフランス語非常勤講師は、日本で最も不安定な職業の一つ(←とまで言ったら大げさかもしれませんがw)になってしまいました。
⦁ ※     ※      ※
さて、フランス語に“être comme un/l’oiseau sur la branche”という表現があります。直訳すれば「枝の上の鳥のようである」。手元の仏和辞典を引いてみると、「地位が不安定だ、将来が心もとない」、Le Petit Robertでは“occuper une position précaire/不安定な地位にある”。換言すれば「いつクビになってもおかしくない」、まさに大学のフランス語講師の状況です(←自虐的な笑いw)。

枝の上の鳥のようである

ところが、別の仏和辞典によると、この表現にはもう一つ意味があって、「一ヶ所に長くとどまらない」。
ネットで検索してみると
http://www.linternaute.fr/expression/langue-francaise/15716/comme-l-oiseau-sur-la-branche/#:~:text=Comme%20l%27oiseau%20sur%20la,et%20origine%20de%20l%27expression)
“se dit d’un individu qui n’a pas d’opinion fixe et assurée, ou qui n’est pas sûr du chemin à prendre/しっかりした定まった意見を持っていない人、あるいは取るべき道について確信がない人について言われる”とあります。考えがフラフラ変わる人、職業を転々とする人、志望がコロコロ変わる人について言うのでしょう。
してみると、この表現、大学のフランス語講師が自虐的に、“Je suis comme l’oiseau sur la branche/オレは枝の上の鳥みたいなもんだよ”のようにも使えるし、優柔不断な友人や頻繁に転職する知人について、“Il est comme l’oiseau sur la branche/アイツは枝の上の鳥みたいなヤツだ”のように使うこともできますね(註)。
⦁ ※       ※      ※
私は一昨年の春に住宅ローンの返済が終了し、非常勤講師という不安定な立場にいても、それをことさら心配する必要はなくなりました。しかし、興味の対象がコロコロ変わるという意味では、私の「枝の上の鳥」は死ぬまで治りそうにありません。
実際、私は高校時代から現在に至るまで、志望・関心事が大きく変化し続けています。研究者としてテーマが変遷するだけならまだしも、フルタイムで事務仕事をしたり、法律系の資格を三つ取ったり、英語のTOEICでperfect scoreを目指したりと、今、振り返ってみると「常軌を逸しているw」ようにも思えます。そうではなく、腰を落ち着けて一つのテーマで研究を続けていれば、私にももっと大きな仕事ができたかもしれません。
とは言え、世間では「初老」と言われる年齢になって、今更、生き方を変えることもできません。他人の目には、地に足がつかず、フラフラした人生を生きたように映るでしょうが、自分としては「これがオレの生き方なんだ」と、全面的に「肯定」したい気分です。

(註)この表現はどの辞書にも載っていますが、実際はめったに使わないようです。複数のネイティヴに確認してみたところ、ほとんどの人がこの表現を知りませんでした。

-blog, 未分類

執筆者:

関連記事

キャベツ

キャベツを植えに行く(aller planter ses choux)

こんにちは。バゲットです。 若い方は聞いたことがないかもしれませんが、私が子供の頃(1960~70年代)、漫画やテレビドラマで、「ニワトリでも飼って余生を過ごせ」というセリフをよく目/耳にしました。 …

フランス語・部分冠詞と不可算名詞(Les articles partitifs et les noms non-comptables)

明けましておめでとうございます。バゲットです。昨年中は当ブログをご愛読いただきまして、どうもありがとうございました。本年もよろしくお願い申し上げます。※      ※      ※さて、昨年春にアップ …

フランスの家族海海岸で

ヴァカンスに行こう!(1)

こんにちは。バゲットです。 勤務先の大学で学期末試験が終わり、テストの採点と成績の提出も完了して、私もようやく夏休み。昨日は久しぶりに、終日、のんびりと過ごしました。 ということで、今回はフランスのヴ …

チョコレート

チョコレートをめぐる闘争(la lutte pour le chocolat)

こんにちは。バゲットです。 私が若い頃(1980年代)は、東京でもチョコレートの専門店はあまり見かけませんでした。だから、フランス語に「ショコラティエ(chocolatier)=チョコレート屋」という …

ワインの試飲

高級ワインの道(La route des grands crus)

こんにちは。バゲットです。 今回は、先日のフランスのテレビニュースから。 フランス「農業省(le ministère de l’Agriculture)」の発表によると、春になって厳しい寒波に見舞われ …

2021/11/18

指を鼻の中に入れて(les doigts dans le nez)

自分のお皿の中にいない

2021/09/27

自分のお皿の中にいない(ne pas être dans son assiette)

2021/08/02

お風呂の中に入る(se mettre dans le bain)

2021/06/16

白いキャベツを作る(faire chou blanc)

いかにして月末を丸くするか

2021/05/10

月末を丸くする(arrondir ses fins de mois)

faire la cour a quelqu'un

2021/04/23

ボクと付き合ってよ(Tu veux sortir avec moi ?)

ゴキブリを持つ(avoir le cafard)

2021/02/27

ゴキブリを持つ(avoir le cafard)

2021/01/27

フランス語・部分冠詞と不可算名詞(Les articles partitifs et les noms non-comptables)

2020/12/07

オレの趣味じゃないよ(Ce n’est pas mon genre !)

ニンジンが煮えた

2020/11/12

ニンジンが煮えた(Les carottes sont cuites)

地位が不安定だ

2020/10/12

枝の上の鳥のように(comme un oiseau sur la branche)

2020/09/12

馬車馬のように働く(travailler comme une bête de somme)

2020/07/31

イチゴを持ち帰る(ramener sa fraise)

サラダを語るのイラスト

2020/06/29

サラダを語る(raconter des salades)

2020/05/29

死んだネズミのように(comme un rat mort)

不定冠詞

2020/04/28

フランス語・不定冠詞と定冠詞(Les articles définis et indéfinis)(3)

スカイプ

2020/04/08

コロナウイルス:Skypeでレッスンを受けたい学生向け

(お知らせ)新型コロナウィルス感染症への対応について

2020/04/05

(お知らせ)新型コロナウィルス感染症への対応について

2020/03/16

フランス語・不定冠詞と定冠詞(Les articles définis et indéfinis)(2)

2020/02/26

フランス語・不定冠詞と定冠詞(Les articles définis et indéfinis)(1)

2020/02/10

オシッコ・テロに気をつけて!(Faites attention aux attentats au pipi !)

頭の内側に髪の毛が生える

2020/01/24

頭の内側に髪の毛が生える(avoir les cheveux qui poussent à l’intérieur)

Joyeux Noel

2019/12/23

JOYEUX NOEL A TOUS!!!

2019/12/09

2020の予約システムアップデート(生徒さんへ)

あなたのお住まい、お仕事は東京でしょうか?フランス語や文化に興味がございますか? くつろげて、自分に合うフランス語学校をお探しでしょうか?

東京でフランス語を学ぶのでしたら、新宿、池袋から数分の私たちの学校のサービスをご提案します。

初心者、初級対象者のすべての方には他校にはないプライベートレッスンをご提供します。初心者の方にはマンツーマンでそれぞれの題材の最後までご指導します。

その他のレベルではスタンダードコースとして(中級、上級)クラス内での広がりを作る為に1クラス3人まで のセミプライベートレッスンとプライベートレッスンがございます。

個人レッスンでは各ご要望のコースで対応します(文法、語彙、口語表現、試験準備、テレビニュース他…)。 フランス語会話サロンでは文化や社会に関する様々な題材で意見を交わし、東京からフランスまでを旅し、横断する事が出来ます。又、幼稚園生から大学生まで、セミプライベートレッスン、個人レッスンもご提案させていただきます。

私達の学校は会話を基本とする方法で、フランス語圏出身の講師による生きた会話レッスンを行っています。そういうわけで、私達は本校のことを、会話学校又は自由会話サロンと呼んでいます。