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サラダを語る(raconter des salades)

投稿日:2020年6月29日

こんにちは。バゲットです。

何度も書いたように私の実家は元農家で、私が子供のころはJA職員だった父を除いて、毎日、家族総出で農作業をしていました(私は動物たちと遊んでいただけですがw)。家の周囲には大きくはありませんが畑があって、いろいろな野菜を作っていました。売っていたのは栗、梅、ミョウガ、シソ、山椒など一部だけで、多くは自家消費用です。
そのため、家族の食卓はいつも野菜であふれかえっていました。毎日、野菜の煮物が三〜四品(!)は必ずあって、サラダも毎日出てきて、自家製の漬け物も二〜三品が並びます。「こんなに野菜ばかり食べさせられて、明日の朝、目が覚めたら、オレはキリギリスになってるんじゃないかw」と、私はいつも心配で心配でたまりませんでした(←ウソですww)。
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さて、私より皆さまの方が詳しいかもしれませんが、フランス人もたくさん野菜を食べています。コース料理だとオードブルに生野菜のサラダ(crudités)を食べますし、ラタトゥイユ(ratatouille)やニース風サラダ(salade niçoise)のように、野菜が主体の(有名?)料理も存在します。ポトフ(pot-au-feu)やシュークルート(choucroute)でも大量に野菜を使いますね。あるいは、フランス語教育研修で私が派遣されたカーン大学(Université de Caen)のレストランでも、毎回6種類の野菜(ライス[←野菜の一種!]、ジャガイモ、ニンジン、ホウレン草、エンドウ豆等)から一品を選び、お皿一杯に盛り付けることができました。
そんな事情ですから、フランス語には「野菜」に関係する表現がたくさん存在します。その中から今回紹介したいのは、“raconter des salades/サラダ(菜)を語る”。
いつものようにネットで検索してみると

https://www.expressio.fr/expressions/raconter-des-salades)、“raconter des salades”は、19世紀にできた表現で、“raconter des mensonges, des histoires/ウソ、作り話を語る”を意味します。
この言い回しの「由来(origine)」としては、「サラダは互いによく調和するさまざまな材料の組み合わせ(assemblage d’ingrédients divers qui se marient bien entre eux)」で、「容易に、心地よく食することができる(facile et agréable à avaler)」。「ウソを信じ込ませたいときには(Lorsqu’on veut faire avaler un mensonge)」、「微かなユーモアと、でっち上げた口実と、少量の真実と偽りをかき混ぜて(mélanger un peu d’humour, des excuses imaginées, un peu de vrai et de faux)」、「それを説得力ある口調で味付けすれば(l’assaisonner d’un ton convaincant)」、「それでよい(il suffit)」。別のサイトでも同様の説明をしていますから、「由来」はその通りなのでしょう。

“Raconter des salades”

では、この表現、具体的にはどのように使うのでしょうか。別のサイトが挙げている例では、たとえば子供が学校から帰ってきて、「今日はすごく勉強したよ、宿題ももう終わったし」と母親に言う。すると母親は「アンタがサラダを話してなきゃいいけどね(J’espère que tu ne me racontes pas de salades)」。
あるいは、休日の夕方、帰宅した夫に妻が尋ねます、「今日の午後はどこに行っていたの」。夫が答える、「友達のマルクと一緒だったよ、テニスをしたんだ」。で、妻がピシャリと言うのです、「私にサラダを話すのはやめて(Arrête de me raconter des salades)。さっきマルクから電話があったわよ」。

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上で書いたように、私が子供のころ、家の食卓には毎日サラダがありました。他方で、小学校低学年の私は、友人たちを楽しませるために、いつもサラダを話していました(Je racontais toujours des salades)w。気恥ずかしいので具体例を挙げるのはやめておきますが、どれもこれも稚拙で面白味のない、「不味くて不細工なw」サラダです。
その後、長じるにつれて、私が「サラダを語る」頻度はずいぶんと少なくなりました。それでも時には、話をしていると生来のサーヴィス精神(?)がニョッキリと顔を出し、ついつい、ストーリーに脚色を加えてしまうことがあるのです。人を騙すつもりはないのですが、いつの間にかそうなってしまうw。
そうしたときは、せめて昔より料理(??)の腕が上達し、「高級で上品で絶妙な味のw」サラダを話せていればいいな、と思っています。

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