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日曜日(le dimanche)

投稿日:2022年3月29日

こんにちは。バゲットです。

もう30年以上も前、私が初めてフランスに留学したとき最も戸惑ったことの一つは、日曜日にほとんどのお店が閉まっていることでした。大昔のことなのでよく覚えていないのですが、パン屋も食料品店もスーパーも、カフェもレストランも、日曜日にはほとんどが休業してしまうのです。
学生だったので時間はあり、日用品等は平日に買っておけば問題はありません。しかし、困ったのが食事です。私が住んでいたアパート(と言うより「下宿」)には、小さなガスコンロがあるだけで、本格的な「自炊」をするのは困難でした(まあ、仮に「設備」があったとしても、私にはそもそも自炊できる「技術」がありませんでしたがw)。大学のキャンパス(←メチャクチャ広い)内には三つの学食があって、どれか一つは日曜日も営業するのですが、一番近い学食でも私の家からは歩いて20分。他の二つは遠すぎて、徒歩で行くのは困難な距離です。(これも記憶は定かでないのですが)市街地にあった中国人経営の安食堂は日曜日も営業していたので、お昼はそこで食べ、夜は一番近い学食が開いている日は学食で食べて、閉まっているときは前日買っておいたパンと缶詰、「クノール/Knorr」のスープ(←フランスでも売っていた)でしのぐことが多かったように思います。
では、なぜフランスでは、日曜日にはほとんどのお店が休業していたのでしょうか。それは日曜日が、キリスト教の「安息日」だからです。

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さて、ついでですから、ここで「曜日」について復習しておきましょう。日本語の「曜日」はすべて太陽系内の肉眼で見える天体に対応しています。月曜/月、火曜/火星、水曜/水星(←見えることがあるそうです)、木曜/木星、金曜/金星、土曜/土星、日曜/太陽といったように。
他方、フランス語の「曜日」で太陽系の天体に対応しているのは、lundi(月曜)/lune(月)、mardi(火曜)/Mars(火星)、mercredi(水曜)/Mercure(水星)、jeudi(木曜)/Jupiter(木星)、vendredi(金曜)/Vénus(金星)まで。samedi(土曜)はユダヤ教の安息日(sabbat)に由来するそうで、dimanche(日曜)は「主(=イエス・キリスト)の日/jour du Seigneur」。イエスが金曜日に磔刑に処せられ、日曜日に「復活/résurrection」したからです。また、復活したキリストが弟子たちの前に初めて姿を現したのも、日曜日でした。
だから、キリスト教徒にとって、日曜日は他の曜日とは違う特別な日なのです。当初は「礼拝日」に当てられていたようですが、紀元321年、古代ローマ帝国のコンスタンチヌス一世が休日に定めて以来、「安息日」として定着しました。日曜日はクリスチャンにとって、働いてはならない日、休んでいなければならない日になったのです。さらに20世紀になると(1906年)、週一日の休日が労働者の権利として法制化されて、日曜日=「安息日」は法律のお墨付きを得ました。

faire la grasse matinée

かくして、日曜日は朝寝坊をし(faire la grasse matinée)、お昼は比較的手の込んだ料理を作って家族みんなで食べて、午後ものんびりと過ごすのが、平均的なフランス人のライフスタイル(style de vie)となったのでした。

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このように、フランスでは日曜日を休息に当てることはキリスト教の伝統であって、同時に労働者たちの権利です。だからこそ、ほとんどの商店や飲食店が日曜日は休業していたのですが、この国際化(mondialisation)の時代、特に観光地の商業施設や飲食店では、旧来の習慣をいつまでも固持しているわけにもいきません。さらに、「規制緩和」や「雇用の増大」(←日曜日も営業するためには、従業員数を増やさなければならない)といった観点も重要です。そこで近年、サルコジ大統領や、オランド政権の経済相だったマクロンさんが主導して、日曜日の商店・飲食店の営業を大幅に拡大しました。現在ではパリ市内のデパートは、日曜日も開店しています。

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