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鉄仮面(l’homme au masque de fer)

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こんにちは。バゲットです。

私が子供のころ、仮面で素顔を隠した「正義の味方」が「悪」と戦うという内容のマンガやテレビドラマが、大流行していました。私は特に藤子不二雄さんの「パーマン」が大好きで、「パーマン」の放映が終了したときは、現代なら「パーロス」とでも言いそうな深い喪失感、寂寥感を抱いたものでした。
今回調べてみたところ、日本でそのような仮面のヒーローの嚆矢となったのは「月光仮面」だそうで、「正義の味方」という言葉自体が「月光仮面」の主題歌に由来するそうです。
※      ※      ※
さて、「正義の味方(フランス語で justicier)」ではありませんが、フランスにも仮面をまとっている人がいます。たとえばこの方(↓)です。
鉄仮面
通称「鉄仮面(l’homme au masque de fer)」。歴史上実在した人物で、1669年に捕らえられて1703年にバスティーユ牢獄で亡くなるまで、34年間も獄中で過ごしました。権力側はその身元を徹底的に隠蔽し、本名も素顔も明かされず、監獄長自らが世話をしたそうです。常時鉄の仮面をつけていたと言われますが、実際には人と面会するときだけ、布製の仮面を着用したようです。
そんな事情があったため、その正体についてはさまざまな憶測が流れました。国王ルイ14世の異母兄、双子の兄または弟、宰相マザラン(Mazarin)とルイ13世の后が不倫して生まれた子、等々です。
「鉄仮面」は多くのフィクションに着想を与えました。現在でも入手可能なものとしては、アレクサントル・デュマ(Alexandre Dumas)の『ダルタニアン物語』、藤本ひとみさんの『ブルボンの封印』、森川久美さんによるそのマンガ版などがあるようです。1998年には、レオナルド・ディカプリオの主演で映画にもなっています(『仮面の男』↓上の画像も同様)。
「鉄仮面」の映画
映画では「鉄仮面」はルイ14世の双子の弟という設定です。年老いた三銃士が、暴君だったルイ14世を弟の鉄仮面フィリップ(ディカプリオの二役)とすり替えようとするお話です。フランスでの評価は今一つだったようですが、今回DVDを見たところ、エンタメ映画としてはよく出来ていると思います。個人的には、ジュディット・ゴドレーシュ(Judith Godrèche)が出演していたのが嬉しいですね。
ウィキペディア・フランス語ヴァージョンによれば、「鉄仮面」の伝説は、ヴォルテール(Voltaire)が『ルイ14世の世紀(Le siècle de Louis 14)』(1751年)で紹介したことによって有名になりました。現代では、この伝説自体、「絶対王政の信用を失墜させるため(pour discréditer la monarchie absolue)」、ヴォルテールが「でっち上げたもの(une totale invention)」だとする説もあるそうです。と言うのも、国家機密を握っている囚人や国家にとって有害な囚人に「仮面(loup)」を着用させることは、当時、広く行われていたことで、「鉄仮面」とされる人物の処遇は決して例外的なものではなかったからです。
私は専門家ではないので、その点については何とも言えません。「真実」は歴史学者に任せるとして、私たちは「物語」を「物語」として楽しめば、それでよいのではないでしょうか。

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