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君は「ガリ勉」?(Tu es fort en thème ?)

投稿日:2018年6月2日

こんにちは。バゲットです。

私は学生時代、仏作文のトレーニングとして、フランス語の原文テクストを「再構成」(要するに「暗記」)する練習をしていました。
英語学者で上智大学教授(当時)の渡部昇一さんが『知的生活の方法』で紹介していた英作文の勉強方法を、私流にアレンジしたもので、まず、フランス語原文のテクストを適当な分量(私の場合は文庫で20行程度)自分で日本語に訳し、次にその和訳をもとにフランス語原文を再構成(=仏訳)します。で、間違いをチェックし、文法事項や単語の意味・ニュアンス等を確認した後、もう一度フランス語に翻訳する。翌日は、前日の復習をしてから、新しい箇所で同じ作業を繰り返す。そして、4〜5日に一回、前の4〜5日分を総復習する(←これをやると死ぬほど頭が疲れますがw)・・・という流れです。
テクストは、最初はサン=テグジュペリ(Antoine de Saint-Exupéry)の『人間の土地(Terre des Hommes)』を用いましたが、その後、アルベール・カミュ(Albert Camus)の『シーシュポスの神話(Le mythe de Sisyphe)』に変え、こちらは本全体の3分の2ほど「暗記」=「再構成」したように思います。
効果は十分にあったようで、後年、カーン大学(l’Université de Caen)の学内新聞にエッセイを掲載したとき、編集長から「あなたは完璧なフランス語を書く」というお褒めの言葉をいただきました。
皆さまも、上記の方法を自分なりにアレンジして、試してみたらいかがでしょう。
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さて、フランス語で外国語作文(=自国語から外国語への翻訳練習)のことを「テーム(thème)」と言います。「外国語作文が得意[な人](fort en théme)」という表現があって、私はずっと「ガリ勉」の意味に理解していたのですが、改めてネットで検索してみると(http://www.expressions-francaises.fr/expressions-f/2491-fort-en-theme.html)、「真面目で熱心な生徒(élève consciencieux et appliqué)」、別のサイトでは「何にでも即答できる人(qui a réponse à tout)」と出てきます。19世紀半ば頃、ラテン語(あるいはギリシア語)作文が上手なラテン語(ギリシア語)学者を指す言い方から派生した表現だそうで、上の語義だと、「真面目な優等生」とか「博学な人」といった日本語に対応しそうです。他方、「軽蔑的な意味にも用いられる(utilisé aussi dans un sens péjoratif)」とありますから、それだと「ガリ勉」ですね。リンク先(↑)の「用例」では、フロ-ベール(Gustave Flaubert)が自分のことを、そう言っています。

自分を「書く才能に恵まれていない」

サルトル(Jean-Paul Sartre)もまた、自伝『言葉(Les Mots)』の中で、自分を「書く才能に恵まれていない(Je ne suis pas doué pour écrire)」「ガリ勉(fort en thème)」と呼び、「私の著作は汗と苦労の臭いがする(mes livres sentent la sueur et la peine)」と書いています。
このように、ニュアンスは肯定的にも否定的にもなりますから、自分について言うときも、他人について言うときも、ちょっと注意が必要かもしれません。

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