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ビーフステーキの思い出(souvenirs de steak-frites)

投稿日:2018年11月26日

こんにちは。バゲットです。

 

私が子供のころは、外国からの牛肉の輸入が制限されていて、「ビーフステーキ(=ビフテキ)」といえば高級料理の代名詞のようなものでした。私の実家は千葉の山奥の農村地帯ではわりと大きな農家で、決して貧しくはありませんでしたが、私は子供のころ「ビフテキ」を食べたことは一度もありません。
私が生まれて初めて「ビフテキ」を食べたのは、高校を卒業して東京に引っ越してきた日のことだったように思います。渋谷で現在「ヒカリエ」のある場所に建っていた「東急文化会館」のレストランで、ナイフとフォークの使い方、肉の切り方等を父に教えてもらいながら食べました。大卒初任給が10万円程度だった時代、私が食べたステーキは3,800円でした。

 

ビーフステーキのセットの画像

 

それからほぼ10年後、私はフランスに留学し、ボルドー郊外のアパートの近くのカフェ・レストラン(brasserie)で、よく夕飯を食べました。ビーフステーキのセット(前菜、パン、ワイン、デザート付き)が、確か42フラン。当時の為替レートだと、日本円で850円前後でしょうか。値段の安さには驚きましたが、同時に、さして美味しいとも思えない肉質に、「普通の人が日常的に食べているステーキは、こんなものなんだろうなぁ」と、妙に納得したものでした。

 

ところが最近では、状況が一変しています。ネットで調べてみると、2017年11月の調査では(https://www.smartbox.com/blog/plats-preferes-des-francais/)、一位は「カモの胸肉のロースト(magret de canard)」。二位が「ムール貝のフライドポテト添え(moules frites)」、三位が「クスクス(couscous)」で、ビーフステーキは七位まで落ちています。フランスでも健康意識が高まっていて、カロリーの高さが凋落の原因だとも言われます。
※      ※      ※
私が大学二年生のときでしたが、私の誕生日に、当時お付き合いしていた女の子がビフテキを焼いてくれました。彼女も学生だったのであまりお金がなくて、安い牛肉を使ったせいか(あるいは彼女もステーキを焼くのは生まれて初めてだったのかw)、焼き上がったステーキは口に入れてもなかなか噛み切れません。「ガムみたいだね」と言いながら二人で笑いながら食べたのを、今でもよく覚えています。
その後、牛肉の輸入が自由化されました。安価な肉が市場に出回るようになって、今では東京でも、1000円以下の値段でステーキを食べられるお店があります。私もときどき、一人でわびしく(w)、ビフテキを食べに出かけます。
当然と言えば当然のことですが、「美味しいものを手頃な値段で食べられれば、それで幸せ」というほど、人間は単純ではないようです。

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