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ドリップ・コーヒー(le café filtre)
投稿日:2025年10月31日
こんにちは。バゲットです。
私も初老と言われる年齢になって人生を振り返ってみると、嗜好品としての飲み物がコロコロ変化していることに気づきます。ある時期はコーヒーばかり飲んでいたかと思うと、別の時期には紅茶ばかり、別の時期には・・・という具合です。面白いと思うのは、好み(と言うか「習慣」)が変わって、一旦飲まなくなると、「飲みたい」という気持ちがほぼ完全に失せること。たとえば(ホット)コーヒーから(水出し)緑茶に変わってしばらくすると、コーヒーを飲みたい気持ちが全くなくなるのです。まあ、ただの嗜好品ですから、どうでもいいことですが。
さて、私が大学院修士課程のとき好んで飲んでいたのは、ホット・コーヒーでした。当時お付き合いしていた女性の影響かもしれません。そのころは一人でも喫茶店によく行きましたし、自分のコーヒー・ミルも持っていて、自宅でもよくコーヒーを入れて飲んだものでした。

そんな事情だったので、修士課程修了後フランスに留学して、初めてカフェでコーヒーを注文したときは驚きました。中年男性のボーイさんに、“Un café, s’il vous plaît”と言ったら、出てきたのがエスプレッソだったからです。口をつけてみましたが、苦すぎて飲めません。そこで日本式のドリップ・コーヒーはないものかと、いろいろと探したり、友人・知人に尋ねてもみたのですが、どこにもありません。一度だけ友人に教えられて、大学の自動販売機で薄いコーヒーを見つけたのですが、それがひどく不味い。エスプレッソより、さらに不味い。後になって知ったのですが、それは“café allongé/薄めたコーヒー”といって、エスプレッソをお湯で薄めたものだったのです。
そんなこともあって、私はしばらくの間コーヒーはあきらめて、自宅でもカフェでも紅茶ばかり飲んでいました。あるとき日本人の友人から、「エスプレッソも慣れると美味しい」と聞くまでは。ということで、今日のテーマはコーヒーです。
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先日、フランスのテレビ・ニュースで「コーヒー・ショップ/アメリカ風コーヒー」というルポルタージュが放映されました。タイトルの通り、アメリカ風の喫茶店が破竹の勢いで発展・拡大しているというのです。最初のお店がパリで開店したのが20年ほど昔。それが今ではフランス全国に3,500店舗もあって、さらに平均して一週間に一店ほど新規開業している。あるお店では、アイスコーヒーが4ユーロ(700円くらい)で、ミルクをつけると5ユーロ(850円程度)。普通のフランス風カフェだと、コーヒー(エスプレッソ)は2ユーロ程度ですから、二倍の値段ですが、それでも飛ぶように売れているそうです。あるお店の支配人は、7年間で客が10倍になったと言っていました。
当然ですが、その割を食っているのが従来型のカフェ。ルポで紹介されたお店では、午前中は閑古鳥が鳴いています。数年前までは朝食を食べるお客さんでほとんど満席だったのに。店主は「ウエイターを一人解雇しなければならない」とぼやいていました。
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