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ブドウを摘む(faire la vendange/les vendanges)

投稿日:2018年10月3日

こんにちは。バゲットです。

何度か書いたように、私は若いころボルドー(Bordeaux)に留学していました。皆さまご存知の通り、ボルドーは、フランスではブルゴーニュ(Bourgogne)と並ぶワインの名産地です。
大学は市街地からバスで20分ほどの郊外にあるのですが、9月の下旬に現地に到着してしばらくして、周辺に、大きな畑一面に植えられた低い果樹らしきものがたくさんあることに気づきました。「一体、何の木なのだろう」と不思議に思っていたところ、それがブドウの木であることを教えられ、ひどく驚きました。私は、ブドウというものは、ツルが絡まった高い棚があって、そこからぶら下がっているとばかり思っていたからです。留学生仲間で、東京のデパートのワイン売り場で働いていたという女性によれば、日本は雨が多く湿度が高くてブドウが腐ってしまうから、それを避けるために「ブドウ棚」を作っている、ということでした。
さて、ブドウは秋に収穫します。ウィキペディア・フランス語ヴァージョンによれば、フランスでは伝統的に9月〜10月です。「ブドウを摘む」をフランス語で ’faire les vendanges’ と言いますが、これは「ワインの生産のためのブドウの収穫(la récolte du raisin destiné à la production du vin)」を指す表現で、「食用ブドウ(raisin de table)」の収穫は含みません。
フランスでは栽培されるブドウの95%以上が、ワインの製造に当てられます。収穫方法は「機械摘み(vendange mécanique)」と「手摘み(vendange manuelle)」の二種類があって、ワインの質とコストを考慮して選択します。
「機械摘み」は、トラクターのような「ブドウ摘み機(machine à vendanger)」を使って行います。コストは安くなりますが、「ブドウを選別しながらの収穫ができません(la récolte n’est pas sélective)」し、「熟していない房や痛んだ房が混ざります(mélange des grappes plus ou moins mûres, voire abîmées)」。そのため、出来上がるワインの質は「並み(qualité courante)」になってしまいます。

ブドウを摘む

他方「手摘み」では、労働者(vendangeurs)がハサミを使って、一房ずつ収穫します。高級ワイン(vins de qualité supérieure)とスパークリングワイン(vins effervescents)を作るには、「手摘み」でなければなりません。
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このように、高級ワインは「手摘み」でなければ作れませんが、その場合、作業員は一日中、中腰で働くことになって、相当な重労働です。報酬はほとんど最低賃金(SMIC=2018年は時給9,88ユーロ)。しかも仕事は一年中あるわけではなく、秋限定の季節労働です。当然、フランス人で従事しようとする人は少なく(せいぜい学生のアルバイトだけ)、主力は東欧や北アフリカからの季節労働者(saisonniers)です。
近年はどこのブドウ栽培農家(viticulteurs)でも、「手摘み」のための労働者を集めるのに苦労しているようです。今年の春に見たニュースでは、イチゴ(fraises)の収穫も季節労働者が足りなくて困っているということでしたから、フランスの農業全体が抱える構造的問題なのかもしれません。
もちろん、日本人が働くことも可能ですし、実際に働いたという人も、私は何人も知っています。今年はもう間に合いませんが、興味があって体力に自信のある方は、フランス大使館に問い合わせてみたらいかがでしょう。

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