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水の下にいる(être sous l’eau)

投稿日:2024年11月14日

こんにちは。バゲットです。

私は大学院修士課程の学生だったときに、腎盂炎を患いました。半年ほど抗生物質を服用して完治しましたが、レントゲン検査の結果、右の腎臓に直径一センチほどの結石が見つかりました。放置しておくと、腎盂炎が再発するかもしれません。そこで、結石を自然排出するために、医師から利尿剤を処方され、一日に最低でも二リットルの水を飲むように(実際に飲んだのは緑茶か紅茶でしたが)指示されました。しかし二年ほど実行しても、「石」は出てきません。

他方で、ちょうどそのころ腎臓結石の「体外衝撃波破砕術」が健康保険の適用を受けることになりました。体外から結石に衝撃波を当てて、粉々にする治療法です。船橋の郊外に専門の病院が出来たので、私も入院して処置を受けることになりました。大昔のことなので現在は少し違うのかもしれませんが、全裸になってフンドシをつけられ、温水を満たしたお風呂のような容器に入れられて、背後から結石に衝撃波を当てるのです。「痛くない」と聞いていたのに、メチャクチャ痛くて、痛み止めにモルヒネを打たれて、それでもひどく痛い。30分以上ひたすら痛みに耐えて、ようやく終了しました。

終わった後に言われたのが、砕いた結石を体外に排出するために、出来るだけ大量の水分を取ること。一日に二リットル以上の小便をすることが目標です。一週間ほどで結石を出し切り退院しましたが、腎臓結石は再発しやすい病気だそうで、退院するときには再度、毎日二リットルの水分を摂取するよう念を押されました。

それからすでに何十年も経過しました。その間ずっと医師の勧告を守っているおかげか、結石は再発していません。ただ、やたらとトレが近くなるのには辟易しています(笑)。・・・と言うことで、今日のテーマは「水」。

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être sous l’eau

さて、フランス語に“être sous l’eau/水の下にいる”という表現があります。いつものようにネットで検索してみると、“être débordé par une quantité de travail trop importante/仕事の量が多すぎて手一杯になっている”、“être noyé sous les tâches et ne plus savoir par où commencer/仕事(の量)に圧倒されて、もはやどこから手を付けたらいいのか分からない”(https://www.linternaute.fr/dictionnaire/fr/definition/sous-l-eau/)。別のサイトを見ると、“débordé, avec trop de travail à faire/しなければならない仕事が多すぎて、手一杯になっている”。

歴史的にどの時代に出現した言い回しなのか調べても分からないのですが、全身が「水の下」にいれば呼吸ができませんから、意味論的な由来は明白です。「息ができない」ことから、「目が回るほど忙しい」、「仕事が多すぎて、もうお手上げだ」という意味に転じたのでしょう。日本語でも水の中で溺れているイメージで「アップ、アップしている」と言いますから、同じ発想なのだと思います。

上(↑)のサイトから例文を借用すれば、“J’ai tellement de commandes à passer et si peu de temps. Je suis sous l’eau !/私には出さなければならない注文がたくさんあって、しかも時間はほとんどない、私は水の下にいる”。職業としての「仕事」の他にも、勉強や家事などいろいろなケースで使えますから、覚えておかれるとよろしいかと思います。

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さて、私がまだ若くて実際のフランス滞在経験がなかったころ、頭に描いていたフランス人の若者たちのイメージでは、彼らは常にミネラル・ウォーターの大きなペットボトルを持っていました。なぜそんなイメージを抱くようになったのかは分かりませんが、恐らく何かの映画で見たのでしょう。そしてそのことに関して、私はとても不思議に思っていました。なぜあんなに大きなボトルが必要なのだとう、と。

その後、実際にフランスに留学してみると、大学のキャンパスでは確かに多くの学生たちが、(大抵)エヴィアン(Evian)や(たまに)ヴィッテル(Vittel)の1.5リットルのペットボトルを手に闊歩しています。理由はすぐに分かりました。日本と比べるとずっと空気が乾燥していて、すごく喉が渇くのです。500ミリリットルのボトルでは、全く用が足りません。こうして、私もすぐに彼らのように、1.5リットルのペットボトルを手放すことができなくなって、いつも図書館の机の上に置いては勉強に励んだものでした。

今となっては、懐かしい思い出です。

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