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『その女アレックス(Alex)』

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こんにちは。バゲットです。

ミステリー小説の「本場」とされるのは一般に英米で、フランスのミステリーは、ガストン・ルルー(Gaston Leroux)の『黄色い部屋の謎(Le mystère de la chambre jaune)』やモーリス・ルブラン(Maurice Leblanc)の『奇岩城(L’aiguille creuse=空洞の針)』など、少数の例外(註)を除いて、日本ではあまり読まれてはいないようです。
そんな事情ですから、2014年、フランス人作家ピエール・ルメートル(Pierre Lemaitre)の『その女アレックス(Alex)』(原著2011年)が翻訳出版されて、「このミステリーがすごい」海外編一位、「週刊文春ミステリーベストテン」海外編一位等、6冠に輝き、一般の読者の間でも絶大な支持を集めたことは、私にとってはちょっとした「快挙」でした。フランスの小説が日本でこれほど話題になったのは、一体、何十年ぶりのことでしょう。
フランス人作家ピエール・ルメートル(Pierre Lemaitre)の『その女アレックス(Alex)』
そこで、内容を紹介すると・・・
主人公はパリに住む非常勤の看護婦、アレックス。30歳の美しい女性です。一つの契約が終了し、しばらくは自身の個人的な「計画」に集中しようと考えています(この「計画」が、問題なのですが・・・)。
ところがある夜、彼女は帰宅途中に中年の男に襲われて、拉致されます。連れて行かれたのは、無人の倉庫。全裸にされた上、拷問用の、木製の小さな檻に閉じ込められてしまいます(原作の表紙↓の状態です)。
アレックスは男に尋ねます、「なぜ『わたし』なの」。男は答えます、「『おまえ』がくたばるところを見たいからだ」と。
『その女アレックス(Alex)』
さて、ある通行人が誘拐の場面を目撃し、警察に届け出ていました。通報を受けたパリ警察は直ちに捜査を始めますが、犯人や監禁場所はおろか、誘拐の目的や被害者の身元さえ分かりません。アレックスは、無事、救出されるのか・・・。
と、そこまではまだほんの「序章」です。「彼女は助かるのか?」という当初の興味は、物語が進むにつれて「この女は一体誰なんだ、何をしたんだ、何をしようとしているんだ?」に変わっていきます。
ミステリー小説なので、物語の詳細に触れることは避けますが、二転三転するストーリーはスリリングで、意外性に満ちて、独創的。
文庫の帯にあった「あなたの予想はすべて裏切られる!」というのは、本当です。
さらに、パリ警察の名警部、身長145センチのカミーユと上司の巨漢ル・グエン。カミーユの部下で資産家の御曹司、美男のマリアーニ。同じくドケチのアルマン。警察側4人組のやり取りも、ユーモラスで、ときに知的で、興味を引く。
噂に違わぬ、第一級のエンターテイメントだと言えるでしょう。お薦めですよ。

註) フランスのミステリーで、『週刊文春・東西ミステリーベスト100』(←ガイドブックとして有名)海外編でランキング入りしているのは、『黄色い部屋の謎』(28位)、『シンデレラの罠』(41位)、『わらの女』(53位)、『奇岩城』(92位)の4作品のみです。

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