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彼の辞書に「不可能」という文字はあるか(Impossible est-il français ?)

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こんにちは。バゲットです。

フランスの「英雄」といえば、ナポレオン・ボナパルト。ベートーヴェンの交響曲第3番『英雄』をめぐるエピソードも有名です(註)。
そして、ナポレオンの言葉といえば、「私の辞書に不可能という文字はない」。
私も小学生のとき、小学館の『小学〇年生』(何年生だったかは忘れましたが)で読んで、「何てカッコイイことを言う人がいるのだろう」と感嘆しました。そんなこともあって、一時は、「尊敬する人物は?」と聞かれるたびに、躊躇なく「ナポレオン!」と答えていましたが・・・

ナポレオンの写真

ナポレオン

さて、その名言「私の辞書に不可能という文字はない」。大学の仏文科の学生だったとき、初めてフランス語の原文を知って、驚きました。

Impossible n’est pas français !

直訳すれば、「不可能(という語)はフランス語ではない」です。日本で流布している訳文と、まるで違うじゃないですか!!!
あるいは、これを上記のように訳した人のセンスが秀逸だった、と言うべきでしょうか。
その後、大学院生になって、この原文自体が、本当は少し違うということを知って、さらに驚きました。正確には

Ce n’est pas possible, m’écrivez-vous ; cela n’est pas français.

「それは可能ではないと、あなたは私に書いている。だが、それ(=そんな言い方)はフランス語ではない」。ドイツ(プロシア)遠征の際、ある司令官から送られて来た手紙への、返信として書かれたということです。

※       ※      ※

そうだとすれば、私たちが知っているあのセリフ(「私の辞書に不可能という文字はない」)は、本来は部下に対する叱咤激励の言葉だったわけです。「弱音を吐くな」「諦めるな」「最後まで頑張れ」みたいな。
あるいは、一歩進めて、自分や仲間達を鼓舞する言葉と解釈することもできるでしょう。
さらには、ナポレオンの信念の深さや決意を示すという見方もできる。「それがやらねばやらないことであるなら、どんなことでも私はやり遂げてみせる」と。
少なくても、彼の自信とか傲慢さを意味する言葉ではないですね。

註・伝えられるところでは、ベートーヴェンは交響曲第3番をナポレオンに捧げる意図で作曲した。しかし、その後、ナポレオンが皇帝に即位したことに激怒し、取りやめた、ということです。事実ではない、という説もあるようですが・・・

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