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「grammaire」一覧

フランス語・部分冠詞と不可算名詞(Les articles partitifs et les noms non-comptables)

2021/01/27  -grammaire, ブログ

明けましておめでとうございます。バゲットです。昨年中は当ブログをご愛読いただきまして、どうもありがとうございました。本年もよろしくお願い申し上げます。 ※      ※      ※ さて、昨年春にアップした「フランス語・不定冠詞と定冠詞(Les articles définis et indéfinis)」(https://lecoledefrancais.net/les-articles-definis-et-indefinis/)は、大変なご好評をいただいたようです。そこで今回はその「続編」ということで、「部分冠詞(articles partitifs)」について書きましょう。 まずは「基本」から。部分冠詞は、①具体的に存在する(=抽象的ではない=一般論/ジャンルではない)、②不特定の(=どれを指すか聞き手がわからない/どれでもいい)、③不可算名詞(=「数」ではなく「量」や「強度」で捉えるべきもの=食べ物/飲み物、人の性質/感情など)につけて用います。形は三通りあってdu+男性名詞(du café/コーヒー、du courage/勇気)、de la+女性名詞(de la viande/肉、de la tristesse/悲しみ)、de l’+母音または無音のhで始まる男性・女性名詞(de l’eau/水、de l’amitié/友情)。「不可算名詞」ですから「複数形」はありえません。「部分冠詞は若干量を示す」と書いてある教科書・参考書もありますが、私はその言い方には違和感を持っています。たとえば「紅茶(du thé)を飲む」なら、カップ一杯か二杯でしょうから「若干量」でもいい。でも、「ビール(de la bière)を飲む」なら一リットル以上飲む人もいますし、北国で雪が降って「庭に雪(de la neige)が積もっている」だったら膨大な量になるでしょう。あるいは同じ「雪」でも、「両手ですくう」なら量はお茶碗一杯くらい。ですから、「量」については「若干量」というより、「適量(=具体的な量は示しておらず、ものによって異なる、場合によって異なる)」と言ったほうがよいように思います。さて、このように部分冠詞は「不特定」の不可算名詞につけて適量を示すわけですが、逆に言えば不可算名詞でも「特定のもの」(=どれを指すか聞き手がわかっている)には、定冠詞を用います。“ J’apporte du vin/ワインを持ってくるよ”ですが、“ Le vin que tu m’as apporté était délicieux/キミが持って来たワインはとても美味しかった”です。また、「具体的なもの」ではなく、「抽象的なもの=一般論/ジャンル」を言うときも定冠詞。“ J’aime le vin/私はワインが好きだ”ですね。 それでは、「不可算名詞」と「可算名詞」はどのように区別すればよいのでしょうか。上では「不可算名詞」は「『数』ではなく『量』や『強度』で捉えるべきもの」につけると書きましたが、実は「可算/不可算」のこの区別は複雑怪奇で、細かいことを言い出すと切りが無いのです。しかし前提として、この区別が最終的には大した根拠のない「ただの習慣」であることは覚えておいた方がいい。「ただの習慣」だから理屈で説明しにくいこともあるし、英語とフランス語で異なることもあります。たとえば英語でinformation/news/homeworkは「不可算名詞」ですが、それに対応するフランス語のinformations/nouvelles/devoirs(すべて複数形で書きました)は「可算名詞」なのです。また、「可算/不可算」両方可能な単語もあって、ケースによって使い分けることにも注意してください。フランスパン(バゲット)は、パン屋さんで買うときは「可算」ですが(une baguette, deux baguettes)、食べるときはまるまる一本食べる人はめったにいませんから、「不可算」(de la baguette)。仮に大食漢がまるまる一本食べるなら、“une baguette/可算”と言うことも可能ですが、それはあくまでも例外的なケースでしょう。あるいは「魚」も同様。魚釣りに行ったときは、「10匹(dix poissons)釣れたよ/可算」と言えますが、「魚を料理する(préparer du poisson)」では「不可算」。釣っているときの魚は数えられますが、まな板の上に置いたら数えられなくなる。「食べ物」になってしまうと、「数」より「量」で考える方が適切だからです。ただしこちらも、たとえば鮎の塩焼きを頭から尻尾まで骨ごとバリバリ食べるなら、“ un poisson/可算”と言えないわけでもない(もちろん実際には「まれ」でしょうが)。同じように、「(農家の)私はウサギを飼育する」は“ J’élève des lapins/可算”、「私はウサギ(の肉)を食べる」は“ Je mange du lapin/不可算”。「私は(ペットとして)ウサギが好き」は、“ J’aime les lapins/可算”、「私はウサギ(の肉)が好き」なら、“ J’aime le lapin/不可算(以上、一般論/ジャンルについて語っています)”です。 ※      ※      ※ 不定冠詞(un, une, des)/部分冠詞(du, de la)/定冠詞(le, la, les)の区別が難しい理由の一つは、そこに三通りの分類が介入することでしょう。つまり、抽象的(=一般論、ジャンル)/具体的、特定/不特定、可算/不可算です。小学校レベルの算数で言えば、2×2×2=8通りに分かれます(実際には「抽象的なもの」に「特定/不特定」の区別はありませんから、8通りにはなりませんが)。これら三通りの分類において、抽象的なもの(=一般論、ジャンル)はすべて「定冠詞」(le, la+不可算、les+可算複数/数えられるものは「複数」が原則)を用います。具体的に存在するもので特定のものも「定冠詞」。具体的に存在するもので不特定のものは、「可算なら不定冠詞/不可算なら部分冠詞」です。難しいかも知れませんが、アタマの片隅に置いておくとよいでしょう。

フランス語・不定冠詞と定冠詞(Les articles définis et indéfinis)(3)

2020/04/28  -grammaire, ブログ

こんにちは。バゲットです。 前回は「特定のもの」を表す定冠詞について書きました。ここで「特定」とは「どれを指すか聞き手がわかっている」ということで、具体的な例として、「どれを指すか文脈でわかる」「状況でわかる」「もともと一つしか無いからわかる」の三つを挙げました。 下で書くことと少し関係するので、「状況でわかる」のヴァリエーションとして、もう一つ挙げておきましょう。「いつものものだから、それだとわかる」というケースです。たとえば、お母さんが子供に、「ちょっとパン屋さんに行ってきて(Va chez le boulanger)」。この場合「パン屋さん」と言えば子供=聞き手は「いつものパン屋さん」だとわかりますから、定冠詞をつけて“le boulanger”です。他にも「彼女は家にいる(Elle est à la maison ←いつもの家=自分の家)」など、いくらでもありますね。 さて、このように「特定のもの」を表す用法の他に、定冠詞には「総称」を意味する用法があります。ここで「総称(générique)」とはその名詞が指すものの「総体」、「種/ジャンル(genre)」あるいは「概念」だと説明されます。厄介なのは、「総称」=「総体」と言いながら、必ずしも「すべての〇〇」とは限らないということ。 たとえば、「人間は死ぬものだ(Les hommes sont mortels)」。人類の誕生以来、死ななかった人は一人もいませんから(w)、ここで言う「人間」は「すべての人間」でよいでしょう。「すべての人間」だから、「総称」の定冠詞を用いて“les hommes”です。 ところが、「私はネコが好きだ(J’aime les chats/このケース、数えられるものは複数形)」になると、事情はちょっと異なります。ここでも“les chats”と定冠詞が用いられていますが、これが「すべてのネコ」でないことは明白でしょう。普通、「隣のネコは引っ掻くから嫌いだw」とか、「向かいのネコは汚らしいから嫌いだw」など、個別的には嫌いなネコもいるはずだからです。しかし、ここではそのような「個別的」な話をしているわけではありません。上の文は、動物の「種」としての「ネコ」について、「私は一般論としてネコが好きだ」と言っているのです。つまり、ここで「総称」とは「ある種」について「一般論として」という意味で、“les chats”は「ネコ一般/一般論としてネコ」を指しています。 「私はコーヒーが好きだ(J’aime le café/数えられないものは単数形)」も同様です。人によっては、「ス〇バのコーヒーは好きだけど、ド〇ールのコーヒーはダメだ(あるいはその反対)」ということも、あるかもしれません。しかし、この文はそのような「個別的」なことを問題にしているわけではなく、飲み物の「ジャンル」としての「コーヒー」について、「私は一般論としてコーヒー(le café)が好きだ」と言っているのですね。 このように、細かいことは無視してザックリ言えば、「総称」の定冠詞は「種/ジャンル」を指して「一般論」を意味しているのです。そして、数えられるものについては、原則として“les+複数形”を用いることも覚えておきましょう。また、英語の“the”の用法と異なることにも注意してください(cf. I like cats/coffee)。 さらに例を挙げれば、「私は演劇/水泳が好きだ(J’aime le théâtre/la natation)」。ここでも「演劇(le théâtre)」は芸術における一つの「ジャンル」、「水泳(la natation)」はスポーツにおける一つの「ジャンル=種目」を意味します。 あるいは、「彼は銀行で働いている(Il travaille à la banque)」。この文で「銀行(la banque)」とはサービス産業における一つの「ジャンル」、つまり「銀行業」ということです。同じような意味で、“Il travaille dans une banque(彼はある銀行で働いている)”と言うこともできますが、ほんの少しニュアンスが違います。前者の「銀行で(à la banque)」は「業」ですから、「彼は銀行員(employé de banque)だ」という含意を持つのに対し、後者の「銀行で(dans une banque)」はただの「場所」。ですから、ひょっとしたら「彼」は、ある銀行でガードマン、清掃員あるいは社員食堂のスタッフをしているのかもしれません。      ※      ※       ※ こうした「総称」の定冠詞は、冒頭で書いた「いつもの」を意味する「特定」の定冠詞と区別が難しい場合もあります。たとえば「お母さんはどこに行ったの/スーパーに行ったよ(Elle est allée au supermarché)」。この「スーパー(au supermarché/au は à + le)」は「いつものスーパー」なのでしょうか、それとも商業施設の一つの「ジャンル」なのでしょうか。 そうした専門的な議論は言語学者に任せましょう。私たち一般人は深く考えず、「どっちでもいいや」と思って使えば、それでよいのではないでしょうか。

フランス語・不定冠詞と定冠詞(Les articles définis et indéfinis)(2)

2020/03/16  -grammaire, ブログ

こんにちは。バゲットです。 前回書いたように、不定冠詞は「不特定」の「可算名詞」につけて用います。ここで「不特定」とは、「どれを指すか聞き手にはわからない」、あるいは話し手にとっても聞き手にとっても「どれでもいい」ということでした。 で、今回のテーマは定冠詞の使い方。定冠詞は、 le+男性名詞単数形、 la+女性名詞単数形、 l’+母音(あるいは無音のh)で始まる男女単数形、 les+複数形で、「特定のもの」もしくは「総称」を表す名詞につけて用います。「可算」「不可算」の区別はなく、どちらにも使える(もちろん「不可算」なら複数形にはなりませんが)。「総称」に関しては次回に回すとして、まず「特定のもの」について解説しましょう。 ここで「特定」とは「会話のその場面で特定されている」ということ、もっと簡単に言えば「どれを指すか聞き手がわかっている」ということです。これにはいくつかパターンがあって、まず「文脈、話の筋道からわかる」ケース。前回書いた「どこかで見かけたイヌ」の場合がそうで、初めて言及するときは聞き手にはどのイヌかわかりませんから、不定冠詞をつけて“un chien”。二度目からは「そのイヌ」だとわかりますから、定冠詞とともに“le chien”です。 あるいは、「どれを指すか状況からわかる」ケースもあります。たとえば「ドアを開けなさい」。目の前のドア、近くのドア、誰かがノックしたドア、もしくはその部屋にドアが一つしか無くて、聞き手がどのドアかわかるなら、“Ouvrez la porte”。これを“Ouvrez une porte”と言ってしまうと、「どれでもいいからドアを一つ開けなさい」という意味になってしまいます。 あるいは、私は田園都市線の三軒茶屋駅から徒歩5分くらいのところに住んでいますが、友人が初めて家に遊びに来るとして、「迎えに行くから、駅に着いたら電話してね(Appelle-moi quand tu arriveras à la station)」。ここで「駅」と言えば「三軒茶屋駅」だとわかりますから、定冠詞をつけて“la station”です。 さらに「もともと一つしかないから、聞き手はどれを指すかわかる」ケースもあります。よく挙げられるのが「太陽(le soleil)」と「月(la lune)」。他にも「(その国の)大統領(le Président)」、「(その国の)首相(le Premier ministre)」、「(その会社の)社長(le PDG)」「(その会社の)営業部長(le directeur commercial)」(言うまでもなく、以上は女性形も可能です)、「(その国の)政府(le gouvernement)」、「(居住地の)市役所(la mairie)」など、いくらでもありますね。 「de+名詞で限定されると定冠詞」などと書いてある教科書・参考書もありますが、それほど単純ではありません。つまり「de+名詞」がついても、「一つ」に限定されなければ不定冠詞をつけるのです。たとえば「ポールのお母さん」は一人しかいないので、“la mère de Paul”でよい。しかし、フローベールは複数の小説を書いていますから、「小説(roman)」に“de Flaubert”をつければ自動的に定冠詞になるというわけではありません。「フローベールのある小説」なら“un roman de Flaubert”で、二度目に言及するなど、聞き手が「フローベールのその小説」とわかるときに初めて、“le roman (de Flaubert)”となります。「ルイ・ヴィトンのバッグ」も同様で、聞き手がどのバッグか特定できないなら、“un sac de Louis Vuitton”ですね。 作家やブランド以外でも、事情は変わりません。たとえばあなたが知人に一人の女性を、「この人はマリーの友達です」と紹介する場合。マリーに友人が一人しかいないということは普通ありえませんから、このケースは“C’est une amie de Marie”です。聞き手が「どの友人」を指すかわかるときに初めて、“l’amie de Marie”と定冠詞になりますね。 さて、次回は「総称」の定冠詞について書きましょう。

フランス語・不定冠詞と定冠詞(Les articles définis et indéfinis)(1)

2020/02/26  -grammaire, ブログ

こんにちは。バゲットです。 久しぶりにフランス語の文法について書きましょう。 さて、私は英語のa/theの使い分けについて、中学校・高校できちんと教えてもらった記憶がありません。今になって考えてみると、先生自身もあまりよく理解していなかったのかもしれません。参考書等を読んでもピンと来ず(←細かすぎて、「普通」どのように使うのかがわからない)、そもそもわからなくてもテストで点数は取れるのでw、ずっといい加減なままになっていました。 そんな状態でしたから、大学に入ってフランス語を学んでも、やはり定冠詞と不定冠詞の違いはよくわかりませんでした。ようやくわかるようになったのは、大学院生になってからw。以前も書いたように、友人たちとフランス現代思想の原書の講読会をしたり、仏作文の練習にサン=テグジュペリの『人間の土地(Terre des hommes)』とカミュの『シーシュポスの神話(Le mythe de Sisyphe)』を暗記したり、あるいは語学学校に通ってフランス語会話を習ったりしているうちに、いつの間にか定冠詞と不定冠詞の区別もできるようになっていました。 おそらく冠詞の使い分けは、フランス語を勉強する日本人にとって、最も苦労する箇所の一つでしょう。ここで、できるだけコンパクトに、ザックリとまとめてみようと思います。 ※      ※      ※ まずは不定冠詞から。不定冠詞は、un+男性名詞単数形、une+女性名詞単数形、des+複数形で、「不特定」の「可算名詞」につけて用います。ここで「不特定」とは、「会話のその場面で特定されていない」ということ、もっと簡単に言えば「どれを指すか聞き手がわかっていない」、あるいは話し手にとっても聞き手にとっても「どれでもいい」ということです。 たとえば“J’ai un chat(=私はネコを飼っている)”は、聞き手はそのネコを知らないという前提での発言で(言うまでもなく、話し手はどのネコかわかっています)、聞き手がどのネコかわかっていないから、“un chat”。すでに何度かそのネコについて話したことがあるとか、聞き手が話し手の家に来てそのネコを見たことがあるときは、上の発言は飛ばして、いきなり“mon chat(=私のネコ)”と言えばいい。 また、どこかで見かけたイヌについて話すとして、初めて言及するときは、聞き手はどのイヌかわかりませんから、“un chien”。二度目以降は、「そのイヌ」だとわかりますから、“le chien/ce chien”と定冠詞や指示形容を用いるか、あるいは代名詞(il/le)で言い換えます。 さらに、八百屋さんで「リンゴを一つ下さい」と言うとき。このときは話し手にとっても聞き手にとっても「どれでもいい一つのリンゴ」ですから、“Donnez-moi une pomme”と、不定冠詞とともに用います。 複数形でも同様です。たとえば、「週末は何をするのが好きですか(Qu’est-ce que vous aimez faire le week-end ?)」と聞かれて、「友人たちと外出するのが好きです」と答えるとしましょう。そのときは、“J’aime sortir avec des amis”(←レコール・ド・フランセの初級用テキスト『スピラル/Spirale』の例文です)。ここで「友人たち」は、聞き手には具体的に「誰」を指すのかわからない「何人かの友人たち」ですから、“des amis”と不定冠詞を用います。もう一つ『スピラル』から引用すれば、“Tu voudrais faire quoi ce week-end ?(=キミはこの週末、何をしたいの)”に対しては、“Je voudrais voir des amis(=ボクは友人たちに会いたいな)”と、やはり不定冠詞(des)を使って答えています。ここでも「友人たち」は、聞き手にとっては不特定の、誰だかわからない「友人たち」だからです。 さて、注意しなければならないのは、不定冠詞をつけるのは「可算名詞」、つまり「一つ、二つ・・・」と数えることのできる名詞だということ。数えることのできない「不可算名詞」(=食べ物・飲み物、人間の性質・感情など)には不定冠詞ではなく、「部分冠詞」を用います。たとえば「私はビールを飲む」なら、“Je bois de la bière”ですね。なお、「数えられる」「数えられない」の区別は微妙な問題も含んでいますので、「部分冠詞」と合せて後日、書くことにしましょう。 次回は、定冠詞について書く予定です。

半分の過去(l’imparfait)?

2019/11/09  -grammaire, ブログ

こんにちは。バゲットです。 久しぶりにフランス語の文法について書きましょう。今回は「半過去(l’imparfait)」です。 フランス語の初心者のみならず、中級者やときには上級者でも、半過去には苦労されている方が多いと思います。あるいは理解したつもりでいながら、実際の使用では間違えまくりという人もいるでしょう。私自身が長い間そうでしたからw。 ※      ※      ※ では、まず基本から。半過去の語尾活用は、全ての動詞で共通。こう(↓)ですね。 語幹(変化しない部分)は、「私たち」の現在形(nous 〜ons)から ons を除いた「〜」の部分。たとえばchanter (歌う)なら nous chantons ですから、語幹はchant。実際に活用させてみると、je chantais/tu chantais/il,elle chantait/nous chantions/vous chantiez/ ils,elles chantaient となります。 être だけが例外で(nous sommes と、〜ons で終わらないので)、étais/étais/était/étions/étiez/étaient と活用します。 ここまではいい。問題は半過去の用法です。「複合過去とどう違うの?」と。 よく「複合過去は点の(短い)過去」「半過去は線の(長い)過去」などと書いてある教科書がありますが、事情はそれほど単純ではありません。「私はパリに十年住んでいた」は、“J’ai habité à Paris pendant dix ans”と複合過去になります。「点と線」で説明しようとすると、「10年」でも「点」になっちゃうのです。 そもそも「半過去」を意味するフランス語 l’imparfait は、「未完了」の意味。「まだ終わっていない過去」ということです。それを「半過去」と訳したのは、「行為半ばの過去」と考えてのことでしょう。 で、端的に言って、半過去の本質は「過去における現在」です。つまり「今」を中心とする現在形を、そのまま「過去のある時点」を中心とした時間軸にワープさせたものが、「半過去」なのです。 たとえば、現在形で“Je suis étudiant(e)/私は学生です”と言えば、「今」この瞬間に学生であるだけでなく、昨日も一昨日も(あるいは半年前も)学生だったし、明日も明後日も(あるいは半年後も)学生であることを含意します。これをそのまま「過去のある時点」に移転させたものが、“J’étais étudiant(e)/[そのとき]私は学生だった”なのです。 この「過去のある時点」は、「昨日(hier)」「三年前(il y a 3 ans)」「2012年に(en 2012)」「当時(à cette époque-là)」「私が家に帰ったとき(quand je suis rentré à la maison)」のように明示的に示されることもあれば、文脈で示唆されるだけのこともあるでしょう。しかし、いずれにしても話し手・聞き手の意識は「過去のある時点」にワープし、その時点での「現在」と認識されるのです。 このことから半過去の具体的な用法としては、 1.過去のある時点における「状態」や「出来事の背景・状況説明」(Elle avait les cheveux longs/[そのころ]彼女は長い髪をしていた、 Il neigeait/[そのとき]雪が降っていた) 2.過去のある時点における「継続・進行中の行為」(Ma mère préparait le dîner/[そのとき]母は夕食の準備をしていた) 3.過去のある時点における「習慣・反復」(Nous allions à la pêche tous les dimanches/[そのころ]私たちは毎週日曜日、魚釣りに行ったものだった) などに分類できます。 注意しなければならないのは、「まだ終わっていない過去」ですから、「全体の期間」を言う表現とは一緒に使えないということ。「私は日仏会館で二年間働いていた」を、“Je travaillais à la Maison Franco-Japonaise pendant deux ans” と言ったら、間違いです。正しくは、“J’ai travaillé 〜” ですね。 ただし、「そのときまでの期間」なら、OK。“J’habitais à Takadanobaba depuis cinq ans/ [そのとき]私は5年前から高田馬場に住んでいた”は、正しい文です。 さらに、同一内容の事柄でも、それを「出来事」として言うのなら複合過去、出来事の「背景」として言うのなら半過去になる。「昨日私は家にいた」は、“Je suis resté chez moi hier” と複合過去になりますが、この「私は家にいた」が別の出来事の「背景」となって、「昨日私が家にいると、弟が来た」は、“Je restais chez moi […]

続・「複合過去」って何?(Qu’est-ce que le passé composé ?/être+p.p.)

2019/05/20  -grammaire, ブログ

こんにちは。バゲットです。 今回も引き続き、複合過去について書きましょう。フランス語の動詞の95%以上は、avoir を助動詞にして複合過去を作りますが、ごく少数の移動を意味する自動詞(=直接目的語を取らない)は、être+過去分詞(以下p.p.と略します)で複合過去を表します。たとえば、aller/venir(行く/来る)、partir/arriver(出発する/着く)、sortir/entrer(出る/入る)、monter/descendre(上る/下りる)、naître/mourir(生まれる/死ぬ)、rester(とどまる)、tomber(落ちる、倒れる)、passer(移る、立ち寄る)、retourner(戻る)などの自動詞、及びそれらからの派生語(revenir [帰る]、devenir [〜になる]、rentrer [帰る] など)です。「移動を意味する」と書きましたが、marcher(歩く)、courir(走る)、nager(泳ぐ)、voler(飛ぶ)など「移動する行為」は、助動詞にavoir を用います。ですから、正確には「移動した結果としての状態を意味する自動詞」ですね。なお、私は学生たちには「生まれる/死ぬ(naître/mourir)は移動の一種だ」と言っています。言語学的な根拠があるか否かは知らないのですが、宗教的に考えれば「この世」に来るのが「生まれる」、「あの世」に行くのが「死ぬ」ですから。 注意しなければならないのは、avoir+p.p. では過去分詞が原則的に「不変」だったのに対し、être+p.p. のときは過去分詞が主語に「性数一致する=女性形になったり複数形になったりする」ということ。たとえば、「彼は東京に行った」なら Il est allé à Tokyo ですが、「彼女は東京に行った」は Elle est allée à Tokyo と過去分詞が女性形になり、「彼女たちは東京に行った」だと Elles sont allées à Tokyo のように女性複数形になります。※      ※      ※さて、以上はどの教科書・参考書にも書いてある、いわば「基本事項」。私が本当に書きたかったのは、これからです。実は私自身、若いころにちょっと戸惑ったのですが、上に挙げた動詞のいくつかはavoir+p.p. で複合過去を作ることもあるのです。と言うのも、先に書いたように、être+p.p. で複合過去を作るのは、移動した結果としての状態を意味する「自動詞」だからです。つまり、上記の動詞の中には「自動詞(=直接目的語を取らない)」の用法の他に、「他動詞(=直接目的語を取る)」の用法も持つものがあって、「他動詞」として、目的語を伴って用いるときは、avoir+p.p. で複合過去になるのです。具体的には、monter、descendre、passer、sortir、retournerなど。これらの動詞には自動詞と他動詞の両方の用法があり、自動詞のときはêtre が助動詞になりますが、他動詞のときはavoir が助動詞となるのです。たとえば、Elle est montée au sommet(彼女は山頂に登った)/Elle a monté la côte(彼女は坂を上った)、Elle est descendue à la cave(彼女は地下室に下りた)/Elle a descendu l’escalier(彼女は階段を下りた)、Elle est passée chez moi(彼女は私の家に立ち寄った)/Elle a passé la frontière(彼女は国境を越えた)などです。慣れないうちは区別が難しいかもしれませんが、注意してください。※      ※      ※「今日、ママが死んだ(Aujourd’hui, maman est morte)。あるいは昨日だったかもしれないが、分からない(Ou peut-être hier, je ne sais pas)」。アルベール・カミュ(Albert Camus)の小説『異邦人(L’Étranger)』の冒頭、フランス文学史上最も有名な書き出しの一つです。ここで複合過去(est morte)が用いられていることに、お気づきのことでしょう。このように、「ル・モンド20世紀の100冊(Les cent livres du siècle)」で一位にランキングされたこの名作は、主に複合過去で書かれています。構文も単純ですし、何よりも作品自体が短いので、フランス語の基本文法を終えたばかりの方が、初めて読む原典としては最適かと思います。興味をお持ちの方は、ぜひとも手に取ってみることをお薦めします。

「複合過去」って何?(Qu’est-ce que le passé composé ?)

2019/05/14  -grammaire, ブログ

こんにちは。バゲットです。 私は若いころから一生懸命にフランス語を勉強してきましたが、最初は基本的な文法事項でも十分には理解できていないことがあって、その後、友人たちとの原書講読会で間違いを指摘され、唖然としたことが何度もありました。他方で、自分が大学でフランス語を教えるようになり、いろいろな教科書を使って、いろいろな参考書にも目を通してみると、重要なことでありながら、どの教科書・参考書でもほとんど問題にされていない事柄があることに気づきます。若いころの私のように、「暗中模索」(あるいは「右往左往w」)する学生には、そのような参考書は何の役にも立ちません。フランス語学校のブログですので、今後はそうした初学者が誤解しやすい、混乱しやすい文法事項についても書いて行きたいと思います。※      ※      ※ということで、今回のテーマは「複合過去」です。まずは基本事項を確認しましょう。「複合過去(passé composé=構成された過去)」はフランス語の過去時制の一つで、それが「複合=構成された」と呼ばれるのは、助動詞+過去分詞(以下p.p.と略します)の二語で「構成される」ため。換言すれば、一語で表現される「単純過去(passé simple)」との対比で、「複合過去」と呼ぶわけです。助動詞はほとんど(95%以上)の動詞で avoir を用います、たとえば Il a dansé avec Jeanne (彼はジャンヌと踊った)のように。英語の「現在完了=have+p.p.」と同じ形です。ここで、ほとんどの初学者は次のように考えるのではないでしょうか、フランス語の複合過去と英語の現在完了とはどのように違うのだろうか、と。フランス語の複合過去も、昔は現在完了でした。ですから、今でも時には現在完了、つまり経験や完了・結果を意味することがあります。例を挙げれば、Vous avez visité Notre-Dame ? (あなたはノートルダム大聖堂を訪れたことがありますか)とか、J’ai déjà mangé (私はもう食べました=だからお腹は空いていません)といった場合です。 しかし、実際にはそうした事例はあまり多くはなく、おそらく90%以上(←個人的な「印象」ですが)のケースで、意味しているのは「ただの過去」。現在完了の用法が拡張して、あるいはズレて、「ただの過去」になったのです。たとえば、Elle a voyagé en France cet été (彼女はこの夏フランスに旅行した)。このように、フランス語の複合過去は過去形なのです。このことから、英語の現在完了との重大な差異が生じます。英語の現在完了は過去形ではありませんから、過去の時を意味する副詞(yesterday [昨日]、last week [先週]など)と共に用いることはできません。I have worked yesterday はNGです。一方、フランス語の複合過去は過去形ですから、過去の特定時を指す副詞と共に用いることができるのです。J’ai travaillé hier (私は昨日働いた)と。さて、上で複合過去の現在完了的用法として、経験と完了・結果を挙げました。では、英語の現在完了が持つ継続用法はどうなのでしょう。この点はちょっと複雑です。たとえば「私は10年前から東京に住んでいる=現在も住んでいる」。英語ではI have lived in Tokyo for ten years です。英語のネイティヴ複数に確認しましたが、このケースで現在形は使えません。ところがフランス語では、J’habite à Tokyo depuis dix ans と、現在形で言うのです。ちなみに、J’ai habité à Tokyo pendant dix ans (註・前置詞は pendant)のように複合過去を使うと、「私は東京に10年間住んでいた=現在はもう住んでいない」という意味になってしまうので、注意して下さい。このように過去から現在への継続については、フランス語では一般に現在形を用います。ただし、否定文では複合過去が使えて、Je n’ai pas vu Marie depuis cinq ans (私は5年前から マリーに会っていない=今もまだ会っていない)はOK。さらに、副詞のtoujours(いつも=英語のalways)を付加して、J’ai toujours voulu visiter la Tour Eiffel (私はずっとエッフェル塔を訪れたいと思っていた=今も思っている)と言うこともできます。ずいぶん長くなったので、続きは次回に回しましょう。

男性名詞と女性名詞(les noms masculins et les noms féminins)(3)

2017/09/27  -grammaire, ブログ

こんにちは。バゲットです。 ちょっと間が飛びましたが、三度、名詞の「性」について書きましょう。さて、フランス語で人間(+身近な動物)以外をさす名詞が、男性名詞であるか女性名詞であるかは、その語の語尾で分ることも多い、という話をしました。では、語尾で分らないときは、どのように覚えればよいのでしょう。 名詞を、意味にしたがってグループ分けすることをお薦めします。すると、まず、すべて男性名詞というグループがあります。1月〜12月までの「月」(janvier, février,mars・・・)、「曜日」(lundi, mardi, mercredi・・・)、「方角」(est, ouest, sud・・・)、「季節」(printemps, été, automne・・・)などです。「単位」(mètre, gramme, kilo ・・・)や「金属」(fer[鉄], or[金], argent[銀]・・・)もすべて「男性」です。「言語」(français, japonais, anglais・・・)もすべて男性名詞でしたね。逆に「学問」(philosophie[哲学], linguistique[言語学], physique[物理学]・・・)はすべて女性名詞です。ただし、mathématiques[数学]は複数形ですし、大学の「専攻」や学校の「教科」ではdroit[法律]、arts[芸術]等、男性名詞もありますから、注意が必要です。その他の名詞についても、基本的には以前書いたように不定冠詞(un/une)をつけて覚えて、ある程度の数を覚えたら、ペアやグループにして「男女」を確認するのがよいでしょう。例えば、時間・空間(temps, espace)は「男」、太陽(soleil)は「男」で、地球・月・星・惑星(Terre, lune, étoile, planète)は「女」、ドア・窓[←家の開口部](porte, fenêtre)は「女」で、廊下・階段[←家の中の通路](couloir, escalier)は「男」、天井・床(plafond, plancher)も「男」、電車・バス・タクシー・船・飛行機 (train, autobus, taxi, bateau, avion)は「男」で、乗用車(voiture)は「女」・・・といった具合です。あるいは、果物は多くが「女性」(orange[オレンジ], pomme[リンゴ], poire[梨], banane[バナナ]・・・)ですが、「男性」もあります(citron[レモン], melon[メロン], marron[栗], raisin[ブドー]・・・)。ですから、果物は「女」と覚えておいて、例外として「男の果物」を覚えればいい。国名もたいてい「女性」です。普通の日本人がフランス語を話していて使用する「男性」の国名は、Japon, Canada, Maroc[モロッコ]ぐらいでしょう(複数ではles États-Unis[アメリカ]、 les Pays-Bas[オランダ]があります)。中南米には「男の国」もたくさんありますが、初心者の方は、とりあえず無視してしまってよいのではないでしょうか。※          ※         ※以前、フランス語教育の研修会で他の日本人の教師達と話したことがあるのですが、フランス語の名詞の「性」については、教師でも皆(私も含めて)、何となく使っているうちに、いい加減になってしまうようです。フランス人でも分らなくなることがあるそうですし、単語によっては、多くのフランス人が間違えて覚えている名詞もあるようです。総じて言えば、フランス語の男性名詞と女性名詞については、あまり神経質になる必要はないと思います。分らなかったら辞書を引けばすむことですし、間違えたところで、たいていは通じますから。

男性名詞と女性名詞(les noms masculins et les noms féminins)(2)

2017/08/28  -grammaire, ブログ

こんにちは。バゲットです。 前回に続いて、名詞の「性」について書きましょう。 フランス語では、人間(+身近な動物)以外を指す名詞は、何の根拠もなく男性名詞/女性名詞に分類されます。それは、どのようにして覚えたらよいのでしょう。 実は、語尾で分ることが多いのです。 まず、統計的には、e で終わる名詞の80%が「女性」だそうです。ですから、――eという語は、分らないときは、「女性」だと思って使えばいい。間違えたところで、たいていは通じます(笑)。 さらに、「接尾辞」で分ることもあります(↓)。 この表にもあるように、tionで終わる語は、すべて女性名詞です。例えば、ambition(野心), association(協会),émotion(気持ちの高ぶり), imagination(想像力), impression(印象), intention(意図), motivation(動機), natation(水泳), nation(国家), opposition(反対), organisation(組織), position(位置), question(質問), situation(状況), station(地下鉄の駅), utilisation(使用)など、たくさんあります。――sionも同様。conclusion(結論), décision(決定), illusion(幻想)など。――té(英語の――ty)もすべて女性名詞です。efficacité(有効性),égalité(平等), liberté(自由), natalité(出生率), nationalité(国籍), société(社会), utilité(有用性), vitalité(生命力)など。逆に、――ment はすべて男性名詞(この形は名詞より副詞が多いのですが)。bâtiment(ビル), gouvernement(政府), sentiment(感情), vêtement(服)などです。――isme もすべて男性名詞です。capitalisme(資本主義), communisme(共産主義), égoïsme(エゴイズム), individualisme(個人主義), libéralisme(自由主義), socialisme(社会主義)など。以上すべて、仏和辞典の巻末の「付録」にある「接尾辞表」に載っています。ことさら暗記しようなどとは考えず、ときどき「接尾辞表」を見て確認する(「ああ、そう言えば、この前出てきたあの単語がそうだなあ・・・」のように)のがよろしいかと思います。(続く)

フランス語・男性名詞と女性名詞(les noms masculins et les noms féminins)(1)

2017/08/22  -grammaire, ブログ

こんにちは。バゲットです。 たまには趣向を変えて、今日はフランス語の文法について書きましょう。多くの場合、フランス語の勉強を始めたばかりの方が、まず最初に戸惑うのは、名詞に「性」があることではないでしょうか。「男性名詞」「女性名詞」って、いったい何なの、と。英語には無いですものね、いいそんなもの。 なぜフランス語の名詞には、「性」があるのでしょう。それは・・・・・・ラテン語にあったからです(笑)。では、なぜラテン語の名詞には、「性」があったのでしょう。それは・・・・・・分りません(笑)。どういう訳か、あったのです。無責任にいい加減なことを言っているのではなく、専門の言語学者たちも「分らない」ということです。大昔のことですから、「万物に霊が宿る」といった考え方(「アニミズム」と言いますが)に基づいているのかもしれませんが、いずれにせよ「単なる推測」に過ぎず、学問的な証拠は無いそうです。※       ※      ※さて、すでにフランス語の勉強を始めている方はご存知のように、名詞の「性」は、人間を指す名詞(家族関係、職業、国籍など)の場合、その人自身の性別に対応します。「お父さん(père)」「男性のパン屋さん(boulanger)」「男性の日本人(Japonais)」は男性名詞で、「お母さん(mère)」「女性のパン屋さん(boulangère)」「女性の日本人(Japonaise)」は女性名詞です。ペットや家畜など身近な動物についても、人間に準じて、男性/女性を使い分けることがあります。例えば、ネコは一般に男性名詞(chat)ですが、あえて「メス猫」と言いたいときは女性形(chatte=女性名詞)を用います。さて、問題なのはそれ以外の名詞。何の根拠もなく、「男性」と「女性」があるのです。単語の持つイメージは関係ありません。「愛(amour)」は男性ですし、「戦争(guerre)」は女性です。一般に「戦い」を意味する名詞(lutte[闘争]、 bataille[戦闘]、 querelle[けんか]、bagarre[乱闘]など)は、女性名詞が多いようです。戦争の女神アテナ(ギリシャ神話ですが)が女性だからなのかも知れませんが、いずれにしてもただの「憶測」です。この点について、私が大学生だったとき、ある著名な文化人類学者・言語学者の先生がおっしゃっていました、男性名詞/女性名詞という呼び方自体が「便宜的」なものだと考えた方がよい、と。つまり、冠詞のつけ方(un/une、 le/la・・・)や形容詞の変化(petit/petite・・・)などによって、名詞は二種類に分類でき、二種類あるから、便宜的に一方を「男性」、他方を「女性」と呼んでいるだけだ、と。換言すれば、呼び名は、二対になるものなら何でもよかったのです。「東西」でも「左右」でも「陰陽」でも「凹凸」でも、よかった。それをたまたま、「男女」と呼んでいるだけ、ということです。 さて、そのような名詞の「性」については、名詞を覚えるときに不定冠詞をつけて覚えるとよい、と言われます。ペンだったらun stylo、本は un livre、テーブルは une table、腕時計は une montre、といった具合です。私もフランス語を始めたころは、そのようにして覚えていましたが、たくさん覚えるといつの間にかゴチャゴチャになって、分らなくなってしまいます。何より、普通は不定冠詞をつけて用いない名詞もあります。「ご飯(riz)」や「勇気(courage)」などの、「不可算名詞」です。では、男性名詞/女性名詞の区別は、どのように覚えたらよいのでしょう。いくつか「コツ」があるように思います。次回は、それについて、書きましょう。(続く)

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